2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370880
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Research Institution | Gakushuin Women's College |
Principal Investigator |
武井 彩佳 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (40409579)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民族ドイツ人 / 強制移住 / 財産移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず研究の出発点となる、ナチ体制下での民族ドイツ人の強制移住における財産移転の形態を検証した。ナチス・ドイツとソ連(併合前のバルト諸国も含む)、イタリア、ルーマニアなどの間で結ばれた、民族ドイツ人の移住協定を検証し、出国する民族ドイツ人が国内に残す財産をいかに処分しようとしたのか、類型化を試みた。史料は主に連邦文書館の第一次資料と、刊行された外交文書を利用した。これにより、財産移転にはどの例でも共通性があることが分かった。たとえば、財産の迅速な処分を進めるために、国対国の一括売却がなされること、またその代金は可能な限り物資の輸出で支払うことなどである。こうした共通性は、強制移住を支える普遍的な要素であることがうかがえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、2014年3月に本テーマで現代史研究会で報告し、その後報告をもとにした論文を『現代史研究』に発表した。また、夏期にドイツ、ベルリンの連邦文書館で史料収集を行い、相当量の史料を入手することができた。現在、集めた史料の精読を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、史料の収集先を広げ、多方面からの分析を試みたい。ドイツ外務省政治文書館においても史料収集を行う予定である。本年度の研究で財産移転の形態はおおよそ明らかになったので、この後は財産がドイツ国内に移転された後、いかに配分されたか、使われたかをより細かく明らかにしてゆく。
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Causes of Carryover |
書籍の購入で全額使い切る予定であったが、海外からの輸入であったため納入に時間がかかり、本年度の会計で処理できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であるため、図書などの物品費として使用予定である。
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Research Products
(2 results)