2016 Fiscal Year Annual Research Report
Wars and the German Sozialstaat in the First Half of the 20th Century - with an Example of the Family Policy during the Nazi Regime
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26370881
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
北村 陽子 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (10533151)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西欧近現代史 / ドイツ史 / 社会国家 / 世界大戦 / 家族支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二つの世界大戦期のドイツにおける兵士遺家族支援のあり方を調査・分析し、それ以前およびそれ以降との連続性あるいは断絶性を示すことを課題とした。なかでも、1930年代ころまでに自治体レベルで成立した、家族をトータルにケアする家族扶助システムが、人種主義を標榜するナチ期にどのように変化したか、あるいは変化しなかったかを見極め、20世紀前半を通じた戦時期の家族をめぐる社会政策の全体像を明らかにし、ドイツ社会国家像を提示できるよう調査をすすめてきた。 本年度の目標は、第二次世界大戦期の兵士遺家族支援および家族政策一般に関して調査を進めるとともに、1945年以降との関連性を調査することであった。第二次世界大戦期には、第一次世界大戦期の兵士遺家族がまだ存命であったこともあり、二つの世界大戦期に生じた戦争犠牲者への支援が並立していた点に注意して、それぞれの兵士遺家族支援の特徴と両者の違いを確認し、そのうえで戦後の占領期および東西ドイツにおける諸政策との関連を探ることをめざした。 二つの世界大戦期における兵士遺家族支援に関しては、すでに戦争障害者支援についての論考「障害者の就労と「民族共同体」への道―世界大戦期ドイツにおける戦争障害者への職業教育」(三時眞貴子・北村陽子ほか編著『教育支援と排除の比較社会史』(昭和堂、2016年)所収)において関連事項として考察している。 また2017年10月に開催される政治経済学・経済史学会のシンポジウム「第二次世界大戦期における戦時社会問題の諸相―食糧危機・異民族支配・社会関係の再編を中心に」で1940年代のドイツの都市社会における様相を報告することになっており、これは本研究課題の一部として調査をすすめてきた第二次世界大戦期から戦後占領期の家族政策をもとに、女性による社会活動と戦時・戦後の社会との関係にまで分析を広げるものとなる。
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Research Products
(3 results)