2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370882
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
藤本 和貴夫 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, その他 (70029734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
華 立 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20258081)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中東鉄道 / 日ソ関係 / 満鉄調査課 / ソ連5か年計画 / 大蔵公望 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1929年の中東鉄道をめぐるに中ソ武力紛争が、それまで比較的安定していた日ソ関係を不安定化するにいたるメカニズムを東北アジアにおける日ソ、中ソ関係に注意を払いつつ明らかにしようとするものである。 1.1929年の中東鉄道紛争におけるソ連軍の勝利によって、関東軍の中にソ連軍のレベルの高さと、中国東北軍の戦闘力の弱さの認識を植えつけた。これは、同じく現地にあり、半官半民の組織である南満州鉄道の「満鉄調査課」のソ連現状分析と一部で合致するものであった。 2.張作霖軍閥との交渉を委ねられていた大蔵公望を長としてソ連研究者を集めた満鉄調査課を中心に出版された『ソワエート連邦年鑑 1931』は、これまでのソ連の評価を転換し、5か年計画によるソ連の経済発展に注目すべきこであることを強調するようになっている。興味深いのは、本書が書かれたのは満州事変の直前であるということである。 3.これを日ソ間の貿易額という経済的な視点から見れば、日ソ国交樹立の1925年以降1930年までの間、日ソ間の輸出入額は伸び続けていることがわかる。それは1930年でピークを迎え、1932年まで下降した後に持ち直している。これは、半官半民の満鉄調査課が経済関係の拡大による日ソ関係の安定を予測したことの根拠であったと考えられる。 4.その意味では、1931年の満州事変の勃発は日ソ関係に予測を超えた影響を与えることになったといえる。他方、本書の編集責任者であった宮崎正義は、石原莞爾のブレーンとなりソ連の5か年計画を参考にした官僚主導の統制経済体制の確立を満州と日本で目指すことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中国黒龍江省社会科学院の中ソ関係の専門家を招へいした研究会の開催が、日程が調整できず延期された。
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Strategy for Future Research Activity |
中国の専門家の招へい、それと同時にロシアの専門家をも招へいし、公開の研究会を開く。
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Causes of Carryover |
中国黒龍江省社会科学院の中ソ関係専門家を招へいして研究会を開催する予定であったが、うまく日程の調整ができず、開催ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中国黒龍江省社会科学院の研究者を招へいして公開の研究会を開催する。また、同時にロシアからも中ソ関係と日露関係の専門家を招へいしする予定である。
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Research Products
(2 results)