2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370888
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小杉 康 北海道大学, 文学研究科, 教授 (10211898)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 礼文華遺跡 / 発掘調査 / 海獣狩猟 / イルカ猟 / 続縄文期 / 小幌洞窟遺跡 / オットセイ猟 / 測量調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北海道南西部、噴火湾北岸の海岸河口部に立地するイルカ猟を生業とする母村的集落遺跡と、屹立する断崖直下の海蝕洞窟に立地する季節的なオットセイ猟をおこなうキャンプサイト的遺跡との遺跡間関係を分析し、続縄文期における海浜部での漁撈活動、特に海獣狩猟活動の実態と地域社会の構成を明らかにするものである。5年計画の第1年次目の研究実績は以下の3点である。 ①礼文華遺跡の発掘調査(範囲確認調査):これまでの調査で遺跡の広がりの南限・西限はほぼ明らかになっているので、遺跡の北側・東側への広がりを確定するための範囲確認調査を実施し、遺跡北側の東側への広がりを確認することができた。しかし北側に関しては私有地であり、当該年度は地権者からの調査許可の同意が取れず、北限を確認することはできなかった。 ②遺跡の地形測量調査:当初は下草が枯れ、樹木が落葉する11頃に測量調査を実施する予定でいたが、9月に実施した範囲確認調査の際の下草の伐採が予定以上に捗ったために、並行して実施し、遺跡の北側において今回確認できた遺跡の広がりの東限よりも約300m先の範囲まで地形測量を実施できた。 ③発掘調査概報の作成:発掘調査概報を作成し、学術雑誌に投稿・掲載した。本研究に先行して2012年から開始している礼文華遺跡の発掘調査(第3次調査第1・2シーズン)の結果も合わせて検討し、その成果(遺跡の堆積構造の全体像を把握できた点)も掲載した。また、小幌洞窟遺跡出土遺物との比較検討を行い、両遺跡の継続期間の重複の程度を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年次は遺跡北側において、遺跡の東側・北側の広がりを確定する予定であったが、予想以上に北側への広がりが延びており、発掘調査の届出を行った範囲(町有地)を超えて、私有地にまで達しており、現状で地権者からの調査許可を得ることができなかった。そのために、遺跡の広がりの北限の確認は次年度以降の調査課題とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、礼文華遺跡の主体部の発掘調査を実施し、既に存在を確認している土坑墓の調査を行う。並行して、地権者の許可を得て、遺跡の北限の範囲確認調査を実施する。また、礼文華遺跡から小幌洞窟遺跡にかけての山間部を対象とした詳細分布調査を実施する。発掘調査の成果は概報として整理・刊行する。小幌洞窟遺跡出土遺物との比較検討も引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
既に測量機を購入しているが、会計の都合上、支払いが2015年度4月になっているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に使用済みで、2015年4月に決済される予定。
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Research Products
(2 results)