2016 Fiscal Year Research-status Report
古墳時代の村落領域と階層構成の実態―東関東における量的把握の実践―
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26370890
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
田中 裕 茨城大学, 人文学部, 教授 (00451667)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 階層構成 / 領域 / 村落 / 地域結合体 / 常陸国風土記 / 国造 / 競合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家形成期における階層構成の実態と、その基礎となる村落の基礎的・伝統的領域について東関東の資料から分析し、最終的に地域社会のまとまりかたを探るものである。これまでの研究から、茨城県域における基礎資料の蓄積が不足がちであることから、平成28年度は茨城県内遺跡調査を実施するとともに、分析のための編年体系を整えることを主眼とした。具体的には、社会を時系列に整理して分析するのに必要な年代の物差しを、分析対象となる地域の中で運用可能な地域に即した物差しとして体系的に整備し、これに基づいて遺跡を時期毎に仕分け、時期毎に遺跡の分布状況を調べること、及び、とりわけ地域社会編成を考える上でやや空白地帯に見える地区の古墳を調査し、古墳の粗密を考慮しながら面的に社会編成のあり方を分析する基礎資料の蓄積に力を注いだ。研究を進める中で、『常陸国風土記』が残る茨城県域のフィールド上の特性を活かすことの利点が改めて研究を進展させる鍵であるとの認識に至っており、7世紀には存在したとみられる「国造」の国のおおまかな範囲を記事から想定できることから、その範囲において、実態として地域結合体が一つに集約されているのか、またはは分立しているのか、という課題の解明が、当初の目的に近づく重要ポイントであることが明瞭になってきた。この課題に関し、「国造」の国の領域内には、競争・競合する集団が分立する状況であることが多いとの分析に至りつつある。この見通しついて、文献古代史を含む研究者との研究会で発表し、意見を請うた。さらに、この問題意識から年度計画を一部修正し、7世紀における動態を知る上でカギを握る資料として、想定される国造国域内における大型前方後円墳の空白地区に所在する終末期首長墓の解明に乗り出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までに、古墳時代前期における統一的な土器の年代基準が未整備であった茨城県において、一定のコンセンサスを得られたことから、平成28年度はこれに立脚しながら、古墳時代から奈良・平安時代を通した土師器年代軸の整備及び遺跡の分析を行った。ただし、領域復原について有用な調査例の抽出は困難を極め、次善の策を講じる必要が生じたため、7世紀には存在したとみられる「国造」の国のおおまかな範囲を文献記事から想定できる『常陸国風土記』の特徴を活かし、一つの「国造」の国の想定領域内における集団関係を、一つの「国造」によって「統一」されているという前提に縛られることなく、相対的に描き出す方法に切り替え、集団編成における鍵とみられる、大型前方後円墳の空白地帯における首長墓の把握を行うことにより、地域結合体の面的な分析を行うこととした。具体的には、平成27年度の補足調査として、やはり前方後円墳の空白地区に独立的に所在する小美玉市羽黒古墳の補足調査を5月に実施するとともに、那珂川中上流域において、やはり大型前方後円墳空白地区にあたる茨城県城里町所在の大型終末期古墳、徳化原古墳の調査を行うこととして準備を行った。ただし、同古墳の調査については、所有者である城里町及び地域住民の事情により、平成28年度末にようやく準備が整ったことから、調査自体は翌年度当初実施予定となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成29年度は、平成28年度に準備を行った城里町徳化原古墳の調査を年度当初に実施するとともに、当初計画の通り、これまでの遺跡調査部分についての成果は、今年度に整理を行った上で、最終的に遺跡調査報告書を刊行する。また、各種分析結果については、当初計画ではまとまり次第学会や学術誌等に発表することとなっており、すでに一部公表しているところであるが、引き続き分析を進めるとともに発表の準備を行う。
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Causes of Carryover |
大型前方後円墳の空白地帯における首長墓の把握を行うことにより、地域結合体の面的な分析を行うため、那珂川中上流域における大型前方後円墳空白地区の茨城県城里町所在の大型終末期古墳、徳化原古墳の調査を行うこととし、平成28年度当初より、現地交渉を行ってきたが、所有者である城里町及び地域住民の事情により、現地の立入り許可が平成28年度末にようやく下りたことから、調査を翌平成29年度当初に繰り下げる必要が生じ、あわせて付随する整理作業と研究全体のまとめ作業についても、繰り越す必要を生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度当初に徳化原古墳調査を実施し、付随する整理・分析作業を直ちに実施する。その後、当初計画の通り、整理作業及び報告書作成作業を行い調査報告書を印刷・刊行する。
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Research Products
(4 results)