2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370900
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木下 尚子 熊本大学, 文学部, 教授 (70169910)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 貝交易 / 原産地 / 琉球列島 / 弥生時代 / 古墳時代 / 九州 / ゴホウラ / 貝殻集積 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.貝交易の実態を示す以下の12遺跡(沖縄県の7遺跡、鹿児島県の6遺跡)について資料収集を行った。①嘉門貝塚A地区出土ゴホウラ腕輪、②大久保原貝塚出土ゴホウラ腕輪ほか、③古座間味貝塚出土ゴホウラ腕輪、④具志堅貝塚出土ゴホウラ腕輪、⑤具志原貝塚出土ゴホウラ装飾品等、⑥宇堅貝塚出土貝製品、⑦浜屋原貝塚B地点のゴホウラ製品(以上沖縄県)、⑧中町馬場遺跡出土弥生土器等、⑨広田遺跡出土貝製品、⑩嘉冶遺跡出土弥生土器等、⑪面縄第一洞穴出土土器等、⑫ヨオキ遺跡出土弥生土器等、⑬高橋貝塚出土土製品等(以上鹿児島県) 2.貝交易の原産地の状況について、沖縄県具志原貝塚出土のゴホウラならびに粗加工品197個を対象に悉皆的な調査を行った。読谷村、うるま市出土のイモガイ集積を確認し、判明している貝殻集積総数を確定した。これは貝交易を再考するための重要な基礎資料である。 3.これまで収集した資料を整理して、弥生時代の貝交易、広田遺跡の貝交易について文章化を行った(未発表)。 以上の作業により、弥生時代の貝交易については、沖縄本島中南部西海岸に面した一連の地域が貝交易の中心であったこと、貝交易の前半と後半では交易ルートと物流のしくみが大きく変化すること、種子島広田人の貝交易が弥生人のそれとは構造的に異なったものであったこと、交易品が鉄製品であったこと、広田遺跡の文化が南島との関係を深めてゆく過程を明らかにした。これは次年度にまとめて公表スする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.現地調査はほぼ予定通りに進行している。 2.成果の文章化は、思った取り時間がかかっているが、次年度の公表にむけて進行している。 3.年ごとに成果が蓄積され、次年度の計画も無理なく誘導されている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.宇堅貝塚等、10年以上前に調査されかつ未発表の資料調査を行う。 2.初期の腕輪形石製品など古墳時代の貝交易に関連する資料の調査を行う。 3.古墳時代の韓半島の関連資料の調査を行う。
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Causes of Carryover |
1.大学院生の謝金業務を予定していたが、当人の都合で執行できなくなった。 2.後半の資料調査予定地にかかる旅費2回分が、他の出張旅費でまかなえることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.大学院生による謝金業務を計画通り執行する予定である。 2.研究の進展により資料調査地を海外で行う必用が生まれており、次年度はこの実現を予定しているため、旅費を適切に使用できる見込みである。
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Research Products
(5 results)