2016 Fiscal Year Research-status Report
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26370900
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木下 尚子 熊本大学, 文学部, 教授 (70169910)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 貝交易 / 琉球列島 / 弥生時代 / ゴホウラ粗加工品 / 貝殻集積 / 広田遺跡 / 小湊フワガネク遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.沖縄諸島における北部九州型ゴホウラ腕輪を、10遺跡(具志原貝塚、伊礼原遺跡、アンチの上貝塚、嘉門貝塚A、嘉門貝塚B,塩屋貝塚、阿良貝塚、熱田第二貝塚、阿波連浦貝輪、広田遺跡)において悉皆的に調査し、弥生時代のゴホウラ腕輪の形成に、南島人と西北九州沿岸部の弥生人が深く関与していることを確認した(「貝輪粗加工品の流通-弥生時代貝交易再論-」『南島考古』第36号、2017)。古墳時代の貝交易について、大きく二つの交易系列のあることを指摘した(「繁根木型貝釧考」『考古学雑誌』第98巻第4号、2014。実際の刊行は2016年)。 2.沖縄諸島における交易用貝殻の採集の実態を、貝殻集積の確認を行うことによって明らかにし、新たな集成データ[1505個(33遺跡138基)]を作成した。このデータは公表を予定している。 3.沖縄諸島におけるゴホウラ粗加工品の加工方法を復元し、製品との対応を明らかにした。公表を予定している。 4.種子島広田人による貝製品素材調達の実態の一部を、奄美大島小湊フワガネク遺跡の調査により明らかにした(「小湊フワガネク遺跡と広田遺跡―奄美大島の鉄器導入期の考察―」『奄美考古』第9号、2017)。 5.古代におけるヤコウガイ交易の実態について、消費地側の新資料を収集した。 6.貝交易大成洞91号墳において古墳時代前期併行期のゴホウラ装馬具、イモガイ装馬具を確認し、調査を実施した。その結果について論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.研究計画書で提示した項目について、計画通りの調査を行い、それぞれにおいて所期の結果を得ている。 2.総じてこれまでの貝交易研究をかなり発展させることができた。それぞれの研究項目について論文を執筆するに足る内容の成果があり、成果の一部を3本の論文で発表した。近日中に2本を執筆する予定。 3.韓国において関連する調査を実現できたことは予想外の収穫であった。これまで実態に不明な部分の多かった4世紀の貝交易に、国外から光を当てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.弥生時代から古墳時代、古代を通した貝交易の全体像を完成させる。 2.南海産貝輪から南島産貝輪への学術用語の更新を提示し、弥生時代の貝交易論を深化させる。 3.熊本地震の影響で実施できなかった沖縄県内の遺跡出土遺物について補充調査を行う。
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Causes of Carryover |
熊本地震の影響で夏季休業期間が変更となり、この期間に予定していた調査を実施することができなかった。この調査費用が次年度使用額になっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏季休業期間に、昨年予定していた沖縄県内の3遺跡の調査を実施する(うるま市宇堅貝塚、地荒原貝塚、読谷村大久保原遺跡)。
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Research Products
(8 results)