2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Shell-trade in Yayoi period from a viewpoint of Ryukyu Islands
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26370900
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木下 尚子 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (70169910)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原産地資料 / 貝交易 / 琉球列島 / 弥生時代 / ゴホウラ / 粗加工品 / 南島産貝輪 |
Outline of Annual Research Achievements |
熊本地震のために実現できなかった資料調査を実施し、これまでの資料調査成果をもとに研究成果を論文にまとめ、以下を指摘した。1.弥生時代の貝交易で交易されたゴホウラのほとんどは貝殻そのものではなく沖縄諸島で粗加工された貝殻であった。2.沖縄諸島にのこるゴホウラ粗加工品と北部九州で消費された貝輪製品とを対応させて、貝交易の変遷を「開始期」、「展開期」、「最盛・衰退期」の3期にわけて把握した。開始期は弥生時代早期に遡る可能性がある。3.沖縄諸島にみられるゴホウラによる貝殻集積は、貝輪素材(貝殻そのもの)と貝輪粗加工品によって構成されている。後者はその加工状況によって古座間味型素材(貝殻背面の水管溝側側に1孔を穿ったもの)と、中央孔型素材(貝殻背面の中央に1孔を穿ったもの)に分けられる。前者は展開期前半に登場して継続する定番素材であり、後者は展開期後半に交易拠点の集落に周辺地域から提供された素材である。貝殻集積は居住地に付属し、貝殻を常時出し入れしながら粗加工品を製作しかつ保管する施設であったことを指摘した。4.沖縄諸島で生産された粗加工品の形は弥生人の貝輪形状によく対応し、かつ連続的に変化している。これは、消費地と貝殻原産地間を海上移動でつないだ西北九州沿岸部・薩摩半島の海人が、貝殻入手に際して南島に一定期間滞在し、南島人とともに貝輪製作に従事し、弥生人の好みを粗加工品製作に反映させることができたためだと考えられる。この関係を背景に薩摩の弥生人は、本拠地である高橋貝塚で、交易用の粗加工品を独自に製作し、西北九州・北部九州に搬出していた。弥生文化のゴホウラ腕輪の形の変化と定型化には、南島人による粗加工品の開発が深くかかわっていたことを明らかにした。以上は、これまで「南海産貝輪」とされてきた学術名称を「南島産貝輪」に変えるためのを根拠になる。
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Research Products
(5 results)