2015 Fiscal Year Research-status Report
14~16世紀中国貿易陶磁の調査研究-モンゴル時代から大航海時代への転換-
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26370901
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
森 達也 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (70572402)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 貿易陶磁研究 / 元・明陶磁研究 / 海上交流史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず8月2日から11日に中国福建省での窯址調査と窯址出土資料の調査を実施した。2015年4月に発掘されたびん(門がまえに虫)清義窯の元・明時代の遺存状態のきわめて良好な龍窯の現地調査を実施し、びん清博物館と福建省博物院考古研究所においてびん清窯の出土資料とそれ以外の福建各地の窯址の出土資料を実見調査した。 11月3日から9日には、沖縄・石垣島において明時代中国陶磁が大量に発見されているシタダル遺跡の現地調査を実施し、併せて水中調査を実施した。 12月18日から1月5日には、浙江省文物考古研究所と浙江省博物館において龍泉窯の出土遺物の実見調査を実施し、次いで龍泉窯(大窯、渓口窯、慶元窯、龍東地区)の窯址現地調査を実施した。上海では宋時代に対外貿易港となっていた青龍鎮の出土遺物の実見調査、山東省・荷沢市博物館で荷沢元代沈船の引き上げ遺物の実見調査を実施した。 本年度の調査では福建びん清窯と浙江省龍泉窯という当該研究においてきわめて重要な窯址の現地調査を実施し、びん清窯においてはこれまであまり明確でなかった元末明初の製品の様相が明らかにできた。また、龍泉窯では、地域ごとの製品の差を明確にすることができ、これまで日本本土や沖縄などでは福建・広東の製品として扱われていた粗製の青磁が、龍泉窯の製品であることが確認できた。また、荷沢元代沈船引き上げ資料やシタダル遺跡など当該期の中国陶磁の流通状況を物語る資料の調査も実施した。本年度の調査・研究においては、当該研究を進める上で、重要な基礎資料を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当該研究の核となる龍泉窯や福建地域の窯址の現地調査を実施することができ、これらの窯の製品に対して認識を深めることが可能となった。また、沈船資料の調査や消費遺跡での調査も実施しており、調査研究はおおむね順調に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究において重要な景徳鎮窯の調査がまだ実施することができていないので、最終年度の早い時期に実施する所存である。また、中近東の情勢が不安定であり、今後この地域での学術調査・研究が困難になる可能性が高いため、現時点ではまだ比較的安定しているイランにおいて、今のうちに再度現地調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度に研究代表が転職をし、科学研究費の移行の手続きに時間がかかってしまったため、調査研究を開始するのが遅れた理由による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
景徳鎮窯の調査、イランでの再調査などを実施する経費として使用予定である。
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Research Products
(5 results)