2016 Fiscal Year Research-status Report
骨病変から考察する先史時代の社会・生活様相について
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26370904
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
谷畑 美帆 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (10440174)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 古墳時代 / 殉葬 / 被葬者 / 副葬品 / 骨病変 / 韓半島 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本全国の古墳から出土する副葬品の中には韓半島の影響を色濃く受けているものが多く、日本における様相を把握するためには両地域の比較検討が重要である。しかし日韓いずれにおいても古墳から出土する人骨の遺存状態が総じて不良であることから、この種の考察はやりづらい状況にあった。そのため、こうした中でも、比較的遺存状態の良好な資料を用いて、観察を実施している。 今年度は現状を踏まえた上で、韓半島の資料を観察し、その結果を提示している。中でも殉葬埋葬されているとみなされてきた古墳(韓国・池山洞44号墳、慶北大学校博物館収蔵)から出土している資料の観察を実施した。その結果、これらの資料には殺傷痕が確認されず、中国における殉葬埋葬とは異なる様相を呈していると推測される。また、殉葬埋葬とは考えにくい副葬品がこうした個体に伴っており、埋葬されている被葬者の社会的階層が低いとは考えにくいという結果も提示することができている。 このほか、日本国内の資料においては、関西地方の比較的良好な資料における骨病変の観察を実施し、関東地方においては、遺存状態の不良な個体をとりあげ、被葬者数の確認を試みた。後期古墳の石室から出土している資料では、追葬(=数回にわたって埋葬が繰り返されること)が実施されているため、被葬者数および埋葬頭位の検討が困難な状況にあるが、遺存している破片資料の部位同定を実施し、10人程度の被葬者を想定し、副葬品との関係も考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度から継続している課題をさらに進めることができた。さらに、中でも、今年度は海外の資料を観察することができるようになり、これまでにない研究進展を提示することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるため、4年間の総まとめとして古墳出土人骨にみられる骨病変に関するデータをまとめ、その成果をいくつかの論考として提示していく予定である。
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