2016 Fiscal Year Research-status Report
気候寒冷化による先史狩猟採集社会の遊動戦略の変化と人口動態
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26370905
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
島田 和高 明治大学, 学術・社会連携部博物館事務室, 専任職員 (70398907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 旧石器時代 / 黒曜石原産地 / 資源開発 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度には,昨年度までに実施したMIS3後半からMIS2にわたる中部高地黒曜石資源開発に関する研究を国際シンポジウムで報告した。また,論文を国際誌に投稿し受理された。当該研究では,長野県中部高地に位置する標高1400mの湿地で得られた過去3万年間の花粉データにもとづく黒曜石原産地の景観・気候の変動と,考古記録,黒曜石産地分析データにもとづく中部・関東地方における後期旧石器時代38-19kaの黒曜石利用ならびに中部高地原産地開発との間の相関関係を検討した。その結果,気候変動は先史狩猟採集民の資源開発行動を規定する主要因である場合もあるが,逆に社会的な変動や石器技術の変化が資源開発戦略に大きな影響をあたえ,明確な気候変動が開発戦略変化の主要因ではない場合もあることを明らかにした。当該科研費の支援を受けて参加した国際シンポジウムはInternational Obsidian Conference in Lipari, Italyで,論文掲載誌はQuaternary Internationalである。 当該年度は,これまでに得られた成果と計画調書に記載した人口動態を反映する遺跡定量データを統合する予定であった。しかしながら,6月上旬から11月下旬にかけて病気治療のため止むを得ず職場欠勤したことにより,予定していた最終年度の計画を遂行することができなかった。そのため,補助事業期間の延長を申請し平成29年3月21日に了承を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度の6月から11月にかけて病気療養により職場欠勤したため,最終年度の計画を遂行することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
事業期間延長により,平成29年が研究期間の最終年度になった。本研究計画の前半部にあたる後期旧石器時代人の遊動生活様式の通時的な変化と最終氷期の気候変動の相関関係については,ほぼ結論を得ることができた。平成29年度は,研究計画の後半部にあたる人口動態を反映する遺跡定量データを集成し,これまでの成果との相関関係を検討することで研究を取りまとめる。
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Causes of Carryover |
当該年度の6月上旬から11月下旬にかけて病気治療のため止むを得ず職場欠勤し,研究計画の遂行が困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画にある先史人口動態を反映する遺跡定量データの集成に必要な消耗品,準備品,書籍等購入の物品費,各種データ採取,学会参加等に必要な旅費交通費,英文校閲の業務委託費を予定している。
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