2014 Fiscal Year Research-status Report
古墳時代中期・畿内中枢地域における埴輪生産組織論の新視角と再構築
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26370906
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
犬木 努 大阪大谷大学, 文学部, 教授 (40270417)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 古墳 / 埴輪 / 生産組織 / 工人 / 同工品 / 胎土分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した調査研究は以下の通りである。 ①平成23年度より継続的に実施している京都府城陽市内出土埴輪の胎土分析を行った。本年度は、城陽市内に所在する赤塚古墳・山道古墳・横道遺跡・正道遺跡・芝ヶ原遺跡出土埴輪の蛍光Ⅹ線分析を行い、周辺古墳・遺跡との比較研究を行った。図化されている埴輪(あるいは図化可能な埴輪)については、可能な限り全個体からサンプリングを行い、三辻利一氏(奈良教育大学名誉教授、大阪大谷大学元教授)のご協力により、大阪大谷大学に設置されている蛍光Ⅹ線分析装置による分析作業を行った。本年度をもって、城陽市内の主要古墳出土埴輪についての胎土分析はほぼ終了したことになる。 ②本年度より、京都府城陽市内の久津川古墳群出土埴輪の基礎調査を開始した。久津川古墳群出土埴輪の古墳別・遺構別・トレンチ別の個体数の確認作業を進めるとともに、今後の実測作業に必要な準備作業として、同古墳群出土埴輪のほぼ全個体について、デジタルカメラによる望遠撮影を実施し、撮影データの整理作業を行った。来年度以降はこれらの撮影データを加工した上で、当該埴輪の実測作業を進めたいと考えている。 ③平成23年度より継続的に実施している宮内庁書陵部所蔵の百舌鳥御廟山古墳出土埴輪について、本年度も調査研究を実施した。墳丘第1段目の原位置出土円筒埴輪を中心として、観察・撮影・拓本作業を行った。現時点で、全体の8割程度まで調査研究が進展している。 ④考古学協会総会や埴輪研究会研究大会などに参加して、埴輪研究に関する最新動向の把握に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・京都府城陽市出土埴輪については、調査すべき円筒埴輪の個体数も非常に多く、実測作業の準備段階としての撮影作業は容易ではなかったが、概ね終了することができた。 ・宮内庁書陵部所蔵の百舌鳥御廟山古墳出土埴輪については、大型品が多く、その調査研究には多大な労力を要したが、現時点で8割程度終了した状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
・京都府城陽市出土埴輪については、実測作業の準備段階としての撮影データの整理・加工作業を進めるとともに、実測作業を行っていきたい。またそれと並行して、資料化のための各埴輪の撮影作業も進めていきたい。一部については、アルバイトが作業を補助する予定である。 ・宮内庁書陵部所蔵の百舌鳥御廟山古墳出土埴輪については、本年度中に資料調査を終了させ、これまでに実施した調査によって得られた観察所見・写真・拓本・胎土分析データなどを総合的に検討していきたい。一部については、アルバイトが作業を補助する予定である。
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Causes of Carryover |
京都府城陽市所蔵埴輪について、実測作業の準備段階として、デジタルカメラによる望遠撮影を行ったが、予想以上に個体数が多く、作業に時間を要したため、次年度使用額が生じるに至った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も、京都府城陽市出土埴輪の資料化を継続して進める予定であるが、当該資料の調査にあたっては、より計画的に作業を行い、次年度使用に至った予算額をできるだけ早い時期に適切に使用するように努めたい。資料調査の作業を補助するアルバイトも雇用したいと考えている。
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