2014 Fiscal Year Research-status Report
国家形成期の畿内におけるウマの飼育と利用に関する基礎的研究
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26370911
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
青柳 泰介 奈良県立橿原考古学研究所, 調査課, 総括研究員 (60270774)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 馬歯 / 馬骨 / ウマ / 国家形成期 / 畿内 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題は、国家形成期(古墳時代~飛鳥時代)の王権の実態を解明する手段の一つとして、当時は希少価値の高かった、ウマの飼育と利用の実態を明らかにすることを目的としている。 従来の研究は、馬具や馬形埴輪などからの間接的なアプローチか、馬歯や馬骨などの埋葬習俗や祭祀儀礼などからのアプローチが主流であり、馬歯や馬骨そのものからの分析は低調であった。 そこで、当該研究では国家形成期に王権中枢が所在した畿内(近畿地方中枢部)の事例を収集し、可能なかぎり、馬歯や馬骨から年齢構成や体格などの基礎データを抽出することに留意する。あわせて、それらに理化学分析(ストロンチウム・酸素同位体比測定、炭素・窒素同位体比測定、放射性炭素14年代測定)を実施し、それらのウマの生育地や食の環境も明らかにしようと試みる。なお、それらの分析から抽出された環境と、出土地の環境とに齟齬があれば、そのウマが出土地とは違う場所から移動してきた可能性を指摘でき、当時の王権がどこでウマを飼育していたかを考える上で重要なデータを提供できると考える。 以上の当該研究の目的と計画を踏まえ、初年度は、国家形成期の畿内の馬歯や馬骨のデータを各種発掘調査報告書から収集することと、次年度に行う各種理化学分析の下準備を行った。 前者については、『研究計画調書』の「研究計画・方法」に掲載した集成表のフォーマットを基にして行った。当初は、この作業に2~3年を想定していたが、初年度でほぼ完了した。今後行う各種分析の土台ができたと考える。 後者については、畿内の大豪族の拠点の一つである、南郷大東遺跡(奈良県御所市、古墳時代中期)出土の馬歯・馬骨を点検し、分析に耐えうる試料を多数確認できたので、次年度早々に分析に着手できるように準備できた。さらに、それらのウマの年齢構成や体高についてもデータ採取できた。上記分析データは、当該研究の核となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
馬歯や馬骨の出土する遺跡のデータ収集について、当初は、この作業に2~3年を想定していたが、初年度でほぼ完了したので。 また、各種理化学分析の下準備についても、次年度早々に分析に着手できるように準備を完了できたので。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、馬歯や馬骨に各種理化学分析を行い、集成表のデータとの比較検討を通じて、ウマの生育地や移動現象について考え、国家形成期の畿内におけるウマの飼育や利用の実態を明らかにしていきたい。なお、次年度に簡単な研究会を開いて中間報告を行い、最終年度の成果報告書作成へ向けて内容を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
少額でもあり、かつ当該年度に使用予定がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文具などの消耗品費にあてたい。
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