2016 Fiscal Year Annual Research Report
Urban geographical study on plant location and labor control in metropolis of Japan during the wartime period
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26370919
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷 謙二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40323381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 戦時期 / 工場 / 疎開 / 関東地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、4時期の工場名簿の関東地方分について、名寄せするとともに、市区町村ごとに集計して戦時期の工場立地の変動を検討した。ここで使用した工場名簿は、1939年末および1942年末の厚生省『常時使用労働者百人以上ヲ有スル工場鉱山等調』、1946年5月現在の日本産業福利協会の『昭和二十二年 全国工場、鉱山、事業場名簿』、1947年版の商工省編纂、工業新聞社発行の『全国工場通覧』である。 まず、戦時期の工場の特徴として、1942年の工場立地を見ると、労働者数が最も多いのは川崎市の11.5万人、ついで横須賀市となっている。戦時期には工場の規模が拡大し、特に航空機産業は、最終の組立工場に向けて発動機工場など多数の工場が連関し、代表的産業となった。群馬県には中島飛行機の組立工場が2箇所あり、どちらも3万人前後の労働者がいたが、周辺には機械器具工業は少なかった。 次に、終戦後の1947年のデータから、工場の設立時期を検討した。①1936年以前設立の工場の比率が高い地域をみると、東京都区部の旧市域部分や横浜市神奈川区の大都市部、のほか、地場産業による地域がある。②1937~42年の設立が比率の高い地域は、東京都区部の大田区や板橋区といった新市域、川崎市や横浜市鶴見区など、①の大都市部に隣接しており、工場の郊外化によるものと判断できる。③1943~45年設立の比率の高い地域は、①②の外側に広範に広がっている。顕著な地域は東京都西部から埼玉県西部、群馬県、栃木県にかけてであり、戦前は製糸業が盛んな農村部である。ただし、群馬県から栃木県にかけては、中島飛行機との関係が考えられる。航空機生産は1944年までさらに拡大したので、周辺に下請工場が増加したとも推測される。関東地方で戦時期後半に機械器具工業が増加した点について、疎開工場だけでなく、周辺部にも核となる大規模工場が存在した点もあげられる。
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Research Products
(2 results)