2014 Fiscal Year Research-status Report
衛星データを利用した中央アジア・西アジアにおける歴史的集落の立地と形態の研究
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26370921
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小方 登 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30160740)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西アジア / ヨルダン / キプロス / 都市遺跡 / CORONA衛星写真 / 衛星画像 / 地理情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ヨルダンおよびキプロスのの都市・集落遺跡を調査した。ヨルダンについては2014年10月に現地調査を行い,アンマン,ジェラシュ,ウンム・アル・ラサース,エル・レジューンなどを訪れた。アンマンとジェラシュは,ヘレニズム・ローマ世界の都市であり,神殿や劇場などが残る。ウンム・アル・ラサースとエル・レジューンは,古代ローマが辺境に設置した軍事拠点であり,長方形の城壁を持つ。その形態や材質について,現地で観察した。ウンム・アル・ラサースと帰りに立ち寄ったマダバでは,教会の床に描かれた地図や都市図を実見し,地理学の観点から興味深いものと思われた。 キプロスでは予備的調査のため,京都大学総合生存学館の大学院生,早川尚志を2014年8月に派遣し,資料を収集して持ち帰った。これを踏まえて,2015年3月に,小方がキプロスの調査を行った。キプロスは,古代ギリシア・ヘレニズム・ローマ世界で,アフロディテ祭祀の中心とされたところである。キプロスでは,アマトゥス,クリオン,パレパフォス,パフォス,キティオンの都市遺跡を踏査した。特にアマトゥスでは,丘の上に立地し,アフロディテ神域のあるアクロポリスと,低地に立地するアゴラの対比を興味深く観察した。アマトゥスには,古代の波止場である海岸沿いのくぼみのほか,沿岸の海底に突堤の遺構が視認できた。クリオンは,劇場などのある市街地とアポロンの神域,スタディオン(競技場)が,互いに離れて存在するところに特徴があった。古代キプロスでは,銅の採掘が経済を支えたが,トロードス山地の銅山も視察した。古代の遺構は残っていなかったが,鉱滓の堆積を観察することができた。 このように現地で得た知見を,CORONAをはじめとする衛星画像やDEMと比較し,西アジア古代都市・集落の立地やプランについて,本年度は特に古代ギリシア・ヘレニズム・ローマ世界のものとしての位置づけから,検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回の現地調査を行い,また衛星画像・DEMの分析を進めており,研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で得た知見をまとめ,研究報告や論文とする。
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Causes of Carryover |
衛星画像を購入するための予算に余剰が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き調査地を選定して,衛星画像を購入する予定である。
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