2015 Fiscal Year Research-status Report
地域間及びスケール間の比較と相互関係を視点とした地誌学習の理論的・実践的構築
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26370922
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉水 裕也 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (60367571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地理教育 / 社会科教育 / 地誌学習 / 比較 / 中学校 / 全国アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地域間の比較,および重層的スケール間の相互関係を考察する視点を組み込む事により,中等段階の社会科地理的分野および地歴科地理における地誌学習を理論的・実践的に再構築することである。 平成27年度は,学校現場における地誌学習実施上の問題点を明らかにした上で,それらを克服する授業を作成する予定であった。平成27年度は以下の2つの取り組みを行った。 1 地域間比較や重層的スケール間の相互関係を考察する地誌学習のモデルを作成するための予備調査として,平成26年度末に全国アンケート調査を実施した。全国の中学校の約1割にあたる1049校に発送したうち472校(45%)から回答が寄せられた。その分析より,①回答者の大学時代の専門は,地理系12.4%,歴史系27.0%,公民系50.7%,社会科教育系8.0%,その他1.9%であった。②回答者が不得手とする分野は地理,公民,歴史の順である。③世界地誌学習および日本地誌学習ともに,教科書の内容や高校入試を意識,知識の習得を重視する教員が比較的多い。④世界地誌学習および日本地誌学習ともに,教科書に記載されている内容が古いと感じたり,生徒の関心を引かないと感じたりしている教員が比較的多い。⑤世界地誌学習および日本地誌学習ともに,地域の特色を多面的・多角的に捉えられるようにしている教員が比較的多い。⑥世界地誌学習および日本地誌学習ともに,教科書と異なる主題や考察の仕方を設定している教員は少数である。⑦特に世界地誌学習では,単元を貫く学習課題の設定が難しいと感じている教員が多い。⑧教科書の学習内容に比べて時間数が確保されておらず,知識量と探究学習のバランスに悩む教師が見られる。という結果が得られた。この結果を日本地理教育学会で発表した。 2 アンケート結果を参考に,中学校社会科地理的分野における外国および日本の単元モデルの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はアンケート調査の分析を行い,その結果を反映して中学校社会科地理的分野の授業モデルを作成する予定であった。アンケート結果の共有,授業モデルの作成のため,数名の実践者と共にマルチスケール地理学習研究会を開き,授業案の精緻化を図ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は最終年度のため,マルチスケール地理学習研究会での検討を経て実際の授業実践を行い,その効果を検証することとする。また,成果を発表することとする。
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Causes of Carryover |
予定していた調査が先方の研究者の都合で年度内に実現できなかった事による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、実施する予定であり、これによって繰り越した額が執行できる。
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