2014 Fiscal Year Research-status Report
中国朝鮮族の韓国への移住と適応過程からみた「韓民族」言説の多重性
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26370925
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 どぅ哲 岡山大学, その他の研究科, 教授 (10281974)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国朝鮮族 / 国際人口移動 / 多文化 / 民族 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,主に①中国朝鮮族移住者に関する調査と②ホスト・コミュニティ(在韓・韓国人)に対する調査を平成26年4月から9月までの6ヶ月間にわたり,主にソウルとその周辺の中国朝鮮族集中地区にて行った。主な成果は下記の通りである。 ①中国朝鮮族移住者に関する調査:韓国に移住してた中国朝鮮族の実態に関しては,すでに相当な研究蓄積があったので,国会図書館などで文献収集を行い,現時点までの研究成果のほぼすべてを収集することができた。現在,それらの既往文献を移住時期による出身地の相違や社会経済的な属性,その後の生業に焦点を当てつつ分析している。また,ソウル市のガリボン洞,デリム洞,およびソウル近郊のオゥンゴック洞といった中国朝鮮族集住地区にて現地調査を行い,時代ごとに中国朝鮮族集住地区が移り変わっていることが分かった。現在,その背景を韓国政府の受入政策の変化と移住した中国朝鮮族の両側面から分析中である。 ②ホスト・コミュニティ(在韓・韓国人)に対する調査:同じくソウル市のガリボン洞,デリム洞,およびソウル近郊のオゥンゴック洞において,中国朝鮮族との日常的な相互作用の有無,中国朝鮮族に対する評価と感想を中心に地域住民に対して深層インタビューを行った。中国朝鮮族集住地区においても社会的な隔離が進行しており,中国朝鮮族の存在や役割は認めつつもおおむねネガティブな評価が多いことから,移民者集中地域でよく見られる地域住民の二重的な態度が確認された。また,地域住民のネガティブな評価は中国朝鮮族集住地区の中心から離れるにつれ,薄れていく傾向があり,日常的な相互作用の頻度と強度に反比例することが確認された。なお,中国朝鮮族の韓国への移住の歴史も20年を超えており,中国朝鮮族コミュにティの中でも階層分化が生じていることは特筆に値する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた調査はおおむね終わっており,文献収集は期待以上に進んでいる状況である。ただし,定量的なデータの収集は若干期待以下である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの韓国でのフィールドワークを続けるとともに,国際人口移動に関する国際会議等で最新の研究動向の収集に努める。また,できる限り,中国における中国朝鮮族の最大の集住地域である延辺朝鮮族自治州において,中国朝鮮族社会の変化に関する調査を行いたい。すなわち,中国朝鮮族元移住者に対するインタビューのほかに,中国現地の言論媒体の資料を収集し,中国朝鮮族のアイデンティティの変化を分析する。また,現地での元移住者の生活を観察し,元移住者と中国朝鮮族社会との関係について考察する。可能であれば,中国朝鮮族社会における「韓民族」言説の変化がもたらした地域社会への影響についても調査を試みたい。さらに,近年の韓国企業のベトナム進出が加速化するにつれて,韓国へ移住した中国朝鮮族が韓国企業とともにベトナムへ再移住するケースも増えているので,ベトナムにおける韓国企業と中国朝鮮族との関係についても資料を集める。
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Causes of Carryover |
H26年度の前半(4月~9月)は,サバティカル研修のため,韓国に滞在していたので,本科研の業務に従事することができたが,後半(10月~平成27年3月)はベトナムにてサバティカル研修を行っていたため,本科研の業務に従事することができなった。そのため,次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度は韓国と中国での現地調査を予定しており,国際学会への参加と資料収集も予定しているので,繰り越し分を含めて執行できると思われる。なお,予算に余裕ができたら,前述したベトナムにおける韓国企業と中国朝鮮族(と在ベトナム・韓国人)との関係についても調査を行う予定である。
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