2015 Fiscal Year Research-status Report
潜在的な宗教者と「知識」の配置をめぐる民俗学的研究
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26370940
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山田 嚴子 弘前大学, 人文学部, 教授 (20344583)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 潜在的な宗教者 / オシラ神 / 民間巫者 / 憑き / 授かり |
Outline of Annual Research Achievements |
オシラ神研究においては、楠正弘は青森県津軽地方と福島県のオシラ神信仰を「個人的なもの」と分類した(『庶民信仰の世界』未来社 1984年)が、「個人」を支えるネットワーク、個人が祭祀者へと変貌するメカニズムについては充分には展開されてこなかった。本研究課題において、研究代表山田嚴子と研究協力者柴田彩子で1970年代から80年代にかけての福島県会津地方のオシンメイサマの調査資料を翻刻・編集し、『オシンメイサマのお年越ー会津編ー』の編集作業を終えた。校正段階で原資料作成者の希望を優先し、一旦、作業を中断し、平成28年7月まで作業を延期した。昨年度の喜多方市の調査資料の編集と今回の作業の過程で福島県会津地方と青森県津軽地方の民間巫者の両方と関わる新宗教について情報を蓄積した。 2015年10月11日の日本民俗学会第67回年会(於関西学院大学)において「『潜在的な宗教者』をめぐる予備的考察―オシラ神信仰者をめぐって―」と題する発表を行い、研究の背景と枠組みを示した。オシンメイサマと関わる民間巫者と、その属する教団の儀礼につ いて、2016年3月20日の西郊民俗談話会例会において、「教派神道と民間巫者ー儀礼をめぐってー」と題する発表を行った。 連携研究者の小池淳一は、5月と8月に青森県下北郡東通村においてベットウと呼ばれる神社の管理者の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原調査資料作成者の一身上の都合で、校正の時間が取れず、今年度作成予定であった中間報告書が刊行できなかった。幅広い読者に提供するには、さらに充分な調整の時間が必要である。 また、2015年度廃館になった青森県内の民俗博物館の旧蔵資料を一時預かり、保存活用に向けた活動に時間を割かざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1970年代~80年代にかけての調査資料については校正段階まで進めているので、平成28年度には基礎的なデータの刊行については問題がないといえる。 成果発表の方法については6月に連携研究者と話し合い、今後の作業予定について確認する。 博物館の旧蔵資料の保存活用の活動については幸いよい方向に動いており、平成28年度は27年度ほどの活動を必要とはしないので、この点については問題がない。
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Causes of Carryover |
報告書の刊行が延期になり、印刷費と出張校正用の費用が不要になったため。連携研究者の計画していた3回の調査のうち、1回が都合で出かけられなくなったため。研究代表の調査計画も前述の活動のため充分な時間が取れなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
中間報告書は7月に校正作業を終え、8月刊行予定である。
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