2016 Fiscal Year Research-status Report
東アフリカ牧畜社会における降雨変動と紛争のメカニズム
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26370941
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
曽我 亨 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00263062)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 紛争 / 降雨 / 牧畜社会 / 経済活動 / 政治状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年3月15日から4月3日にかけて、エチオピア国オロミア州ボラナ県にて現地調査を実施した。調査においては、まず平成27年9月からの1年7ヵ月に発生した民族紛争や殺人などの記録を確認し、降雨状況の確認をした。現地で得られた降雨記録は、ARC2の記録と照合し、ARC2の降雨推測データの確からしさを確認する資料とした。 現地では、紛争の原因として降雨以外の理由と考えられる経済状況と政治状況の変化についてデータを収集した。経済状況については、この地域に大きな利益をもたらしている家畜の市場取引についてのデータを集めた。その結果、ラクダの市場取引が、一度、ほとんど途絶えてしまい、その後、ふたたび興隆していることがわかった。また政治状況については、かつて平成18年に紛争を引き起こした県境の引き直しが確定されるとともに、この地域の少数民族にも地方自治への参加が大きく認められたことがわかった。このため、平成18年に争ったグジとボラナの間には、依然として紛争の火種が残るものの、少数民族が自治を獲得したことで、この紛争におこさせまいとする機運が生まれていることが判明した。 今回調査した1年7ヵ月の対象期間においては、旱魃と言って良いほど雨に恵まれなかったが、ほとんど紛争が生じておらず、降雨と紛争に関連は見られなかった。一方、政治的状況においては、紛争を未然に防ぐ試みがみられ、むしろ政治的要因との関連があるように思われた。 現地調査の他に、平成28年5月3日から9日にかけて、クロアチア国ドブロブニク市で開催された国際人類学民族科学連合(IUAES)において、南部エチオピアの事例を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査については、当初、予定していた夏休み期間に調査にいくことができなかったが、年度末に短期間の調査をおこなったことで、期待通りのデータを収集することができた。調査を実施する前に、現地協力者のトレーニングを行ったことと、日本から定期的にモニタリングを行ったことが、順調な調査に役立っている。 また、研究成果の発信として、国際学会での発表をすることができた。また、論文1本を出版することができたことから、成果の発信も順調に行うことができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年8月から9月にかけて現地調査を実施し、データを収集する。また、4年の研究期間に収集したデータをもとに、降雨と紛争についての因果関係を統計的に検証する。現状では、統計的に関連があるとは思われないが、システム・ダイナミックス等の知見を活用し、降雨と紛争のあいだに遅れがある場合も念頭において検証を進める。
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Research Products
(5 results)