2017 Fiscal Year Annual Research Report
The correlation between rainfall amount and frequency of pastoral conflicts in East Africa
Project/Area Number |
26370941
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
曽我 亨 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00263062)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 牧畜社会 / 紛争 / 降雨 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年8月13日から9月9日にかけて、エチオピア国オロミア州ボラナ県において現地調査を実施した。調査においては、まず平成29年4月からの5ヵ月間に発生した民族紛争や殺人などの記録を確認し、降雨状況を確認した。現地で得られた降雨記録は、ARC2の記録と照合し、ARC2の降雨推測データの確からしさを確認する資料とした。 現地では、紛争の原因として考えられる経済状況と政治状況の変化についてデータを収集した。経済状況については、家畜の市場取引についてのデータを集めた。その結果、ラクダの市場取引については、4月以降も活発に行われていることが判明した。政治状況については、エチオピア全土において、特にオロミア州を中心に反政府運動が活発化した。調査期間終了後、平成30年2月にはハイレマリアム首相が退陣を表明し、平成30年3月末にはオロモ出身のアハメド元科学技術相が新首相に選出されるなど、大きな政治変動が起きた。けれども、調査地においては反政府運動は起きていなかった。一方、オロモ系民族であるグジとボラナのあいだで9月頃から散発的な殺人と反撃が発生した。こうした動きが、全国的な政治変動とどのような関係にあるかは、現在、分析中である。 本研究では、降雨が減ると紛争が増えるという相関があることを作業仮説とし、その妥当性を検討してきた。今回のグジとボラナの紛争は長い旱魃を経た降雨の後に生じた。また、これまでの調査結果をまとめると、旱魃時には紛争が起きず、降雨の後に紛争が生じる傾向がある。以上のことから、降雨が減ると紛争が多くなるという相関には「遅れ」が見られ、降雨が減ると一定の期間を経て紛争が生じるといえる。こうした遅れは、家畜個体数の回復の遅れや、牧草などの生態的基盤の回復の遅れ等に起因するものと考えられる。
|
Research Products
(3 results)