2014 Fiscal Year Research-status Report
現代沖縄における歓楽街の変容に関する都市人類学的ジェンダー研究
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26370945
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
成定 洋子 沖縄大学, 法経学部, 教授 (60637388)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジェンダー / セクシュアリティ / 歓楽街 / 沖縄 / 都市 / 文化人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、売買春や歓楽街、赤線地区に関する学際的な先行研究を整理するとともに、沖縄本島における「歓楽街」や「社交街」(以下、「歓楽街」等)の設立・形成・変容・浄化に関する資料収集・文献調査を行った。また、沖縄本島の那覇市、宜野湾市真栄原地区、沖縄市吉原地区における「歓楽街」等に関する対面式のインタビュー調査をタクシー運転手やソーシャル・ワーカーなどを中心とした関係者に対して行うとともに、これらの「歓楽街」等のフィールドワーク調査を定期的に実施した。 上記の資料調査や聞き取り調査等から、(1)沖縄本島における米軍基地、共同体、自治体、「歓楽街」等の歴史的・社会的・文化的な関係性を明らかにするとともに、(2)「歓楽街」等の設置・形成から浄化まで60年経過しているにも関わらず、各々の背景や経緯には、ジェンダーやセクシュアリティを規範化する言説が共に包摂されていた/いること、および(3)これらの言説は一見共有されているように見えつつも、同時に、異なるジェンダー意識やセクシュアリティに関わる考え方を人々の間に生み出しながら、「歓楽街」等をめぐる社会関係を作り上げていたことを見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の平成26年度の目的達成度は、おおむね順調に進展していると判断出来る。平成26年度は、1沖縄本島の米軍基地周辺における「歓楽街」等の実態の解明、および2「歓楽街」等の浄化の理論的解明という、本研究における基盤的な二つの課題に取り組んだ。 このうち、平成26年度のデータ収集作業である(1)沖縄本島における「歓楽街」等の設立・形成・変化・浄化に関する資料収集・文献調査と(2)「歓楽街」等の参与観察調査、並びに「歓楽街」等の関係者への聞き取り調査によって、1の「歓楽街」等の実態を明らかにすることができた。2の「歓楽街」等の浄化の理論的解明については、売買春・歓楽街・赤線地区に関する先行研究の整理は進んだ一方で、「浄化」に関わる先行研究が少なく、さらに学際的な先行研究に拡大して、検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度を継続する形で、1沖縄本島の米軍基地周辺における「歓楽街」等の実態の解明、および2「歓楽街」等の「浄化」の理論的解明をさらに推し進める予定である。 1においては、平成26年度の聞き取り調査や文献調査を踏まえて、「歓楽街」等に様々な形で関わってきた人々に対して継続的なインタビュー調査を行うとともに、「歓楽街」等における現地調査を定期的に実施し、平成26年度からの調査を含む経時的変化を観察・記録する。 2においては、平成26年度に不十分であった「歓楽街」等の「浄化」に関わる先行研究や研究動向に関する重点的な検証とともに、共同体・公共圏・親密圏・都市人類学に関する先行研究の整理を通して、1において得られたデータの分析考察を行い、これらを基に、「歓楽街」・共同体・公共性・ジェンダー・セクシュアリティに関わる理論的課題を開示し、「歓楽街」の「浄化」をめぐる理論的枠組みを検討・提示する予定である。
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Causes of Carryover |
所属機関が申請時点の東京から現地調査を行う沖縄に移ったこと、国際会議(オーストリア・ウィーン)への旅費が想定していたより安価になったことから、61,728円の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビューデータの書き起こし費や資料収集のための費用に充てる予定をしている。
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