2014 Fiscal Year Research-status Report
河川流域における漁撈活動と環境のかかわりを中心とした生業複合に関する民俗学的研究
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26370952
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤永 豪 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (00409955)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生業複合 / 漁撈 / 河川 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国の河川流域における漁撈活動を中心とした住民の生業複合とその変容について明らかにすることを目的とするものである。 初年度である2016年度は、前半と後半に分けて研究を進め、前半では、本研究のキーワードでもある生業複合の概念と環境論について整理するために、民俗学だけでなく、文化人類学や歴史学、社会学、地理学における生業研究を中心に文献調査を行う予定であった。そのための関連文献を収集し、研究上のフレームワークの構築を図った。同時に、調査に必要な研究対象地域にかかわる地形図や農業センサスなどの各種統計資料の収集を行った。さらに、現地での聞き取り調査やデータの整理等に必要なノート型パソコンやボイスレコーダー、外付けハードディスク、プリンターなどの機器も整備した。 年度後半では、予備調査を行い、対象地域を絞り込んでいく予定であった。具体的には、福岡・大分両県を流れる筑後川および高知県を流れる四万十川の両流域で調査を行うこととしていた。筑後川については、周辺の河川も含めて現地に赴き、実際の漁撈活動について、聞き取り調査を始めた。同河川の場合、すでに、生業としての漁撈活動がほとんど行われていないことから、1970年代頃までに漁に従事していた高齢の漁師を中心に聞き取り調査を行うことになった。また、漁業組合等の各種機関が保有する漁種別の漁獲量やその経年変化などの数的基礎データの収集も進めた。関連学会にも出席し、他機関の研究者と意見交換を行った。これに加えて、研究計画の中でも述べたように、調査が計画通りに進まなかった場合の事も考慮し、比較的資料が残されている広島・島根両県を流れる江の川に関連する文献資料や地形図等もあわせて収集した。ただし、四万十川での現地調査は予定通りに進んでおらず、今後、迅速にフィールドワークを行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地形図や統計資料などの基礎データはもちろん、文献資料の収集、予備調査を行ったが、所属学部の改組を控え、学内業務が予想以上に繁多であったため、一部計画的に現地調査を行うことができななかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、前年度の予備調査をもとに本格的な現地調査を行う予定である。対象河川である筑後川の予備調査は予定通り進めており、これをもとにフィールドワークを行っていく。一方、四万十川の調査が進んでいないため、本年度前半中に現地に赴く必要がある。そのために、昨年度の予算のうち、旅費の一部を繰り越している。また、筑後川もしくは四万十川における調査の状況が良くない場合には、江の川の調査を行うことも考えている。また、可能であれば、研究の経過報告も含めて、学会等で発表も計画しているため、特に後半はこれにむけて調査を加速させていきたい。
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Causes of Carryover |
地形図や統計データ、文献、ノートパソコンやボイスレコーダーなどの物品についてはほぼ予定額通り執行し、調査に活用できた。しかしながら、来年度における所属学部の改組を控え、関連業務が予想以上に繁多となり、予定した予備調査、特に高知県四万十川での現地調査を計画通りに実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生した次年度使用額は、主として初年度の予算計画上の高知県四万十川での調査費であり、これにもとづき、当初の使用目的通り同地域の調査費用に充てる。
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