2015 Fiscal Year Research-status Report
現代都市における死の諸観念の構造と変容を読み解くための研究―上海市を事例に―
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26370953
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
何 彬 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (50305405)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国 / 上海 / 墓地 / 葬儀 / 転換期 / 産業化 / 上場企業 / 都市民俗 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画実行する二年目において、3回計32日間で現地調査を実施した。アンケート調査、聞き取り調査及び文献リサーチを昨年引き続いて展開し、収穫が予想以上大きかった。具体的に下記の三つにおいて述べる。 1)葬送慣習に関する文献のリサーチはかなりの収穫。 ネット使用に制限があるため、検索サイトに接続しやすい大学キャンパス内で行った。博士学位論文・修士学位論文以外に、それぞれの大学に保管される一般卒論も一部検索でき、周辺地域に関する葬儀慣習の貴重な記録資料を入手した。 2)関連部門度への聞き取り調査は大成功。 FIS/上海殯葬服務センターの成立からの歴史やその後10年間の歩む道のりついて、聞き取りできた。調査対象の一つ、かつてFIS傘下企業の一つだった「福寿園霊園・福寿園集団」は株式上場し、中国最初の葬儀関係の上場企業となったため、それに対して聞き取り調査もでき、上場後の葬儀産業の動きもこの一年見つめてきた。葬儀関係の企業は上場企業まで成長したことは、上海の葬送産業の著しい発展および中国の葬儀産業の構造はさらに変化したことを語った。中国経済発展による人々の心への影響、人々の生活の変化はこの世のみにとどまらず「あの世」まで波及したことを近い距離で見られ、貴重なデータも得られた。 3)口頭発表、講演などの学術交流もできた。 FIS/上海殯葬服務センターおよび福寿園へのインタビューを通して、関係者との交流ができた。そのため、中国殯葬協会(団体会員しか参加できない全国範囲業界組織)に招かれて、9月に開かれる年会に日本と中国の葬送研究について講演をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初調査対象の一つである福寿園霊園は、外国資本の霊園経営の現在を調べる対象と予定していたが、中国初の葬儀・霊園関係の上場企業として2013.9に香港で上場企業となって以来、「中国葬儀第一株」と呼ばれ、中国の葬儀産業の構造は大きく書き直された。また、上場後は素早いテンポで事業を拡大、展開していくことは、今後の進む方向やサービスの内容などに気になる。都市における葬儀は福祉をする部門から産業化して企業となり、さらに上場企業としての今後進みは、社会的な福祉という意識から金をもうがる産業と飛躍てきな変化と言える。中国社会において伝統的に「死人の金をもうげるな」という経済観念、死生観の大きな変換ともいえろう。それを身近に調査できてその変容ぶりを見続けられることは、当初予測できなかったことである。中国殯葬協会とのつながりと講演のことにより、今後全国の霊園や葬儀場での調査、研究できる絶好の環境と条件に恵まれる状態になって、貴重な機会とであったと感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
①最終年度のアンケート結果の回収 ②最終年度に葬儀関連の文献資料とアンケート結果を整理する仕事を中心に進む予定である。 ③計画している国際研究会「現代都市の葬儀・霊園の変容に関する研究」の開催(招待参加者は中国国内6名程度の予定)、上海華東師範大学と上海大学との共同開催 ④葬儀関連文献のミニデータバンクを作成する
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