2016 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study of Enchantment and Violence of Thai Tattoos
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26370955
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
津村 文彦 名城大学, 外国語学部, 教授 (40363882)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 東南アジア / タイ / イレズミ / 呪術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、海外調査としては、8月8日より22日まで、タイ・コーンケーン県とミャンマー・ヤンゴン市においてイレズミに関するインタビュー調査を実施した。また6月にRoyal Ontario Museum(カナダ・トロント市)で開催されたイレズミに関する企画展"Tattoos: Ritual. Identity. Obsession. Art.”の調査を行った。 今年度の調査で得られたデータは次のとおりである: (1) タイ国の周辺のイレズミの状況:これまでの調査で、北タイでは強力なイレズミの出所としてミャンマー起源が語られていた。そこで国家を越えたイレズミのグローバルな展開を知るため、ミャンマー・ヤンゴン市において、シャン系寺院やタトゥースタジオでインタビュー調査を行い、現代ミャンマーの都市部で実践されているイレズミの状況の情報を得ることができた。 (2) 呪術的な道具の流通:呪術的イレズミと同じ伝統文字を用いた呪具をめぐって、バンコク周辺の護符や仏具を扱うショッピングセンターや市場にて調査を行った。仏教的な道具というポジティブな力と、呪術的な道具というネガティブな力の双方が、それぞれ別々の店で取引されている様子を確認した。 (3) イレズミ師の系譜:タイ東北部におけるヒンドゥー系の修行者リシに伝わるイレズミなどの呪術的知識をめぐって、コーンケーン県周辺の著名なリシを回って聞き取り調査を行い、年に一度の儀礼を通じて強化される師子関係を通じて、知識と力の正当化が図られている様子を見ることができた。 これらの研究成果は、2016年5月にIUAES中間会議(ドゥブロヴニク)にて、国内では5月に日本文化人類学会(南山大学)にて、6月に東南アジア学会(大阪大学)にて、それぞれ学会発表を行った。
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Research Products
(5 results)