2015 Fiscal Year Research-status Report
グローバル経済下のモンゴルにおける「感染するシャーマン」現象に関する研究
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26370956
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20390718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モンゴル / シャーマニズム / グローバル化 / プライド / 開発 / モラリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバル化した政治経済的状況の下、競争社会を生きる現代モンゴルの人々の中からシャーマンや周囲の人々に焦点を当てて、個人の微細な体験を聞き取ることで、「社会問題化したシャーマニズムの背後にある文化・社会的状況を「プライド」をキーワードに読み解いていくことを目的としている。本研究は、以下の2点において意義深い。第一に国際的な研究競争の第一線に一しているという点である。第二に本研究は、単に社会的文脈から宗教現象を読み解くことに留まらず、人類普遍の不可視の構築物である「プライド」が精霊という、やはり不可視の文化的構築物と近似的性格を持つのではないかという仮説をもっており、「プライド」という概念の一属性を解き明かす可能性を秘めているという点で重要である。 2015年度は、7月に8日間、8月に12日間、モンゴル国でフィールドワークを行った。その調査結果を文献と照らし合しながら、論文執筆を行い、学会発表を行った。その内訳は、学会誌1本、電子ジャーナル1本、論文集の中の一章分の執筆が1本であり、合計3本の論文発表をしたことになる。また国際シャーマニズム学会(International Society for Academic Research on Shamanism)のギリシャ・デルフィ市で行われた大会で発表をし、好評を博した。現在、同学会誌に英語論文を投稿し、査読中である。これらの論文や学会発表は、すべて本研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の共著書2冊・論文2本という成果に加えて、本年度も論文3本と1本の国内学会講演と1本の国際学会の発表ができた。成果という点においては、非常に順調に進展しているといえよう。ただし、当初の計画では、内モンゴルやロシア・ブリヤート共和国での調査を踏まえて比較研究を考えていたが、主目的であるモンゴル国での感染するシャーマン現象の追及に時間を費やすのみとなってしまった。そこで「おおむね順調という評価としておきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、中国内モンゴルでの調査を少し行うほか、成果のまとめとして国際会議を行いたいと考えている。
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Remarks |
電子ジャーナル「シノドス」に掲載された論文
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Research Products
(6 results)