2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Pandemic of Shamans and Globalised Society in Contemporary Mongolia
Project/Area Number |
26370956
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
島村 一平 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20390718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モンゴル / シャーマニズム / グローバル化 / プライド / 開発 / モラリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバル化した政治経済的状況の下、競争社会を生きる現代モンゴルの人々の中からシャーマンや周囲の人々に焦点を当てて、個人の微細な経験を聞き取ることで、「社会問題化」したシャーマニズムの背後にある文化・社会的状況を「プライド」をキーワードに読み解いていくことを目的としていた。本研究は、以下の2点において意義深い。第一に国際的な研究競争の第一線に位置しているという点である。第二に本研究は、単に社会的文脈から宗教現象を読み解くに留まらず、人類普遍の不可視の構築物である「プライド」が精霊という、不可視の文化的構築物と近似的性格を持つのではないか、という仮説をもっており、プライド概念の一属性を解き明かすという点で重要である。 2016年度は、8月10日~22日にモンゴル国ウランバートル市を訪れ、国際モンゴル学会にて成果を発表すると同時に、フィールドワークを行った。また11月には東北大学で開催された国際シンポジウムや京都大学や練馬区立光が丘図書館などで、発表・講演を行った。 最後に、本科研の総まとめとして、滋賀県立大学において、ハンガリーや中国、モンゴルの研究者を招聘し、国際ワークショップ“Between Secularity and Religion: Shamanic and Buddhist Practices in Mongolia;Past and Present”を開催した。 出版物に関しては、本科研のテーマと深く関係のある拙著『増殖するシャーマン』のモンゴル語版が出版された。また査読付き論文2本、査読なしの論文3本、エッセイ1本を発表した。こうした成果の中で明らかにしたのは、資本主義的競争の中で負けた負のプライドを変換する装置としての精霊であり、それに基づくシャーマニズムの姿であった。以上のことから本研究は、非常に実りあるものであったといえよう。
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Research Products
(14 results)