2016 Fiscal Year Annual Research Report
An Anthropological Study on the Tunisian Revolution and its Problems
Project/Area Number |
26370959
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
鷹木 恵子 桜美林大学, 人文学系, 教授 (60211330)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | チュニジア革命 / 民主化 / 文化人類学 / プロセスドキュメンテーション / 聞き取り調査 / 市民社会 / 女性の活躍 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度には、これまでの文献研究と現地調査研究の成果を踏まえて、それを『チュニジア革命と民主化-人類学的プロセス・ドキュメンテーションの試み』と題する一冊の著書にまとめ、それを明石書店から刊行することができた(総頁数 530頁)。この著書では、チュニジア革命の背景と要因を明らかにした後、革命の起こりとその進行過程、ベンアリー政権の終焉、その後の民主化移行期と自由選挙を経た後の新政権の発足、その後のテロ事件の発生と治安維持と経済再建の課題などを、開発学でのプロセス・ドキュメンテーションの手法を援用して論述した。特に本書の特徴は、そのプロセスを多くの聞き取り調査の独自の資料に基づき、多声的・多所的・多面的に描き、またミクロ・メゾ・マクロの次元を多次元的に関連付け、かつそれらを一つの時間軸に乗せて描くということを試みた点である。出版後には、在日チュニジア大使館からの依頼を受け、本書に関する公開講演会も行った。 また夏季休暇中にはチュニジアでの現地調査を継続し、2016年は同国の家族法に相当する『個人地位法』が1956年に制定されてから60周年目にあたったことから、この法の改正をめぐって様々な議論がみられたため、特に女性の権利拡大に向けての議論を中心に考察論述したものを、「チュニジアにおける『個人地位法』制定から60年目の論争 ― 相続の男女平等と女性の配偶者選択の自由をめぐって」と題した論文として『中東研究』に投稿し、2017年の1月号に掲載となった。その他、「ドーヴィル・パートナーシップ 中東・北アフリカ地域における女性の経済・社会・政治的役割の推進に関する国際シンポジウム」(外務省主催、品川プリンスホテルで開催)の国際会議ではモデレーターを務め、同地域諸国の代表者たちと国際交流や情報意見交換をする社会活動も行った。
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