2015 Fiscal Year Research-status Report
インドネシアのアブラヤシ農園労働者をめぐるヘゲモニー関係の研究
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26370961
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中島 成久 法政大学, 国際文化学部, 教授 (80117184)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アブラヤシ / 労働者 / ニアス人 / スクウォッター / インドネシア地方選挙2009 / 西パサマン県 / 西スマトラ州 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は主に以下の活動を行った。インドネシアでのフィールドワークは、2015年8月から9月にかけて、約3週間行った。まず、ジャカルタでのインタビュー調査として、①KOMNAS HAM(インドネシア人権委員会)副議長のディアント・バフディアディ氏と西スマトラ州におけるニアス人襲撃事件(2010年4~5月発生)に対する国家人権委員会西スマトラ州支部の活動について、関連資料を提出していただき、同委員会西スマトラ州支部宛へ紹介状を書いてもらった。つぎに、②元HUMA(エコロジーと慣習法に基づく法改革連合)委員長のアンディコ氏と、インドネシアのアブラヤシ農園労働者の状況についてインタビューを行った。西スマトラ州パダン市での活動では、①国家人権委員会西スマトラ州支部で、ニアス人襲撃事件の詳細について、同事件を担当した委員への直接のインタビュー調査。②国立アンダラス大学のアフリザル教授、およびスリ・セチャワティ講師らと、西スマトラ州におけるアブラヤシ農園労働者についてディスカッションを行った。西パサマン県での活動として、①パサマン山麓のニアス人「スクウォッター」集落訪問、および住民とのインタビュー調査。②ナガリ・カパの慣習法指導者、県森林局長、ナガリ・コトバルの小農とのインタビューを行った。 さらに、ニアス人スクウォッター焼き討ち事件について論文(「ニアス人スクウォッター焼き討ち事件」『異文化論文編』17号)の執筆。この成果については、2016年7月のインドネシア人類学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 アブラヤシプランテーション労働者の現況についての研究は予定通り進んでいる。 2 西パサマン県ではニアス人移民労働者の比率が高く、その実態解明を行った。 3 2との関わりの中で、20010年4月に起きた、ニアス人スクウォッター焼き討ち事件を、ニス人への差別と偏見の中、2009年の西パサマン県の地方政治のなかで分析した。 4 しかしながら、ジャカルタでのアブラヤシ関連アグリビジネスの中心をなすウィルマーグループとのインタビュー調査は、相手方が当方の意図を警戒しているため、いまだに実現していない。次回はぜひ実現させなければならない課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
1 西パサマン県だけではなく、パシシル・スラタン県でもアブラヤシ開発に伴う土地紛争が起きているので、そこでの紛争の現状把握と分析を行う。 2 パシシル・スラタン県から隣のベンクルー州にかけて存在するクリンチ国立公園内に侵入しているアブラヤシ開発の状況について把握する。この問題については、友人のディアントが詳しいので、彼のアドバイスを参考にする。 3 ジャカルタでのインタビュー調査のなかで、アブラヤシ関連コングロマリットの状況についてウィルマーグループだけではなく、シナールマスなどのアグリビジネスも調査する。 4 インドネシア人類学会での報告のほか、日本国際文化学会でに報告も予定している。 5 成果を論文としてまとめる(日本語、英語)。
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Causes of Carryover |
京都大学で開催されたアブラヤシ研究会(2016年1月23日)が、関西地方が大雪のため、新幹線がに遅れが生じたことで、1月25日に法政大学大学院国際文化研究科で早朝から実施した修士論文審査に遅れることを懸念したため。私は研究科長として、最初から最後まで参加することが義務であり、この業務を優先させたために、京都大学での研究会参加を断念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年7月末にジャカルタでインドネシア人類学会が開催され、そこで発表を予定しているが、西スマトラ州でのフィールドワークにいつも助手として協力をしてもらっているズルキフィリ氏にも参加してもらい、2人の共同発表という形式にする予定である。氏をジャカルタに呼び、数日滞在してもらう費用として使う予定である。
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