2016 Fiscal Year Research-status Report
「弱者家族」の司法アクセスに関する日・英・加比較研究‐仲介者による支援の視点から
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26380004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田巻 帝子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80251784)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 司法アクセス / 社会的弱者 / 属性の違い / 仲介者 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に掲げた研究推進方策に則り、本研究課題で対象とする「弱者」モデルとして「セクシュアル・マイノリティ」「LGBT」に属する(とされる)人々に焦点を当てることにし、これらの人々が抱える法的・非法的問題とその解決のための支援や方策に関する文献・資料を収集した。これらの文献は一昨年の東京渋谷区・世田谷区における同性パートナーシップの承認制度導入等を受けて、書籍や学術雑誌などで刊行が相次いでいるといえる。内容としては、性指向と性自認を区別するなど「LGBT」諸概念の正確な理解を促すものから、子どもから大人まで様々な当事者の実態やそれぞれが抱える問題とそれに対する支援を紹介するものまで多岐に亘るが、本研究課題で指摘してきたような「LGBT」当事者にとっての法的な問題と司法アクセスについて取り上げる文献が出てきたことは新しい動きである。 9月下旬に、司法アクセスの「仲介者」に焦点を当てる内容で英国訪問調査を実施し、弁護士やNPO法人、大学関係者と面談を行った。中でもブリストル大学で、全国的な市民相談サービス組織であるCitizen’s Advice Bureau(CAB)の法社会学的研究を行った法学部教授に対し、CABの意義や「仲介者」として果たす機能・役割について、また同大学付属のリーガルクリニック所長に対し、クリニックが「仲介者」として果たす機能・役割やCABとの連携などについて、それぞれ聞き取りを行った。 また、第10回司法アクセス学会(11月26日開催)で「女性と司法アクセス」について報告する依頼を受けたことにより、司法アクセスにおける「性差」を検討する作業を行い、これまでの知見や新たに得た情報を総合して、「性差」以外に人が有する様々な属性によって司法アクセスを阻害しうることをあらためて確認し、「LGBT」や複合的な要因を持つ様々な当事者の司法アクセスについて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度からの「遅れ」を取り戻せないまま、特に年度の前半に全学的な学内行政で多大な時間をとられたこと、また、本研究課題以外の研究に関する学会報告や研究分担者となっている他の科研費研究課題の用務が重なったことで、エフォート管理がうまくいかなかった。職場を離れることができない等の理由で海外調査の旅程を組むことがままならず、比較研究の対象国の一つであるカナダの訪問調査を実現できていないことが一番の「遅れ」である。さらに、昨年度に立てた研究推進方策で示した国内調査に関しても同様であり、科研費助成の期間延長を申請するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
一年の期間延長を許可されて最終年度であり、「遅れ」を取り戻すべく、年間のスケジュール及び研究計画を実行可能なものとして綿密にたてることから始める。 具体的に次のようなことに着手し、調査結果を随時まとめていくこととする。国内調査としては、「LGBT」当事者を中心とする「弱者」とその家族(「弱者家族」)が抱える問題の整理と問題解決行動の実態を調べるため、弁護士個人や弁護士会で行っている「LGBT」当事者に特化した相談サービスの実施状況と内容について通信や面談による調査を行う。 また、「仲介者」として非法律専門家が果たす機能に関して調べるため、地元の新潟を中心として個人及び自助グループやNPO法人等の団体による「LGBT」当事者に特化した相談サービスの実態調査を行う。特に近時の変化を見るため、一昨年にも調査した団体を再度訪問し、その後の活動についてフォローアップ調査を行う。 さらに、積み残しのカナダ調査に関しては9月中旬をめどとしてトロントのリーガルクリニック所長の弁護士やトロント大学ロースクール教授を訪ね、社会的包摂や多様性を重視するカナダにおける「LGBT」当事者の司法アクセスについて、理論と実務の両面から聞き取りを行うこととする。
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Causes of Carryover |
進捗状況の欄に上述したように、当初予定していた海外調査を実施することができず、その旅費等の経費が未使用であることが主たる理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先方の都合もあることから確定はしていないが、9月中旬にカナダ・トロント市内の関係者や各機関における聞き取り調査で、旅費等を使用する予定である。残りの経費については国内調査旅費及び文献資料の追加購入に当てる。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 女性と司法アクセス2016
Author(s)
田巻帝子
Organizer
司法アクセス学会第10回学術大会
Place of Presentation
弁護士会館講堂クレオ(東京都・千代田区)
Year and Date
2016-11-26 – 2016-11-26
Invited
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