2014 Fiscal Year Research-status Report
女性幹部警察官登用とその含意-日・英・比三カ国比較の視点から
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26380015
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 如子(原如子) 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70533967)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 警察 / 女性 / 職業教育 / エリート / フィリピン / 組織文化 / 法社会学 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である平成26年度は、女性警察官に関する資料収集、女性警察官の登用、あるいは、警察組織における多様性に関心を有する国内外の研究者とのネットワーク作り、フィリピンの女性警察官を対象とした調査実施を行った。 まず、女性警察官に関する海外資料については、文献等が比較的豊富で入手しやすい日本と英国以外については、南アフリカのKwazulu-Natal大学Khan教授、女性登用が比較的遅れているアジア圏にあって比較的女性の登用が進んでいるフィリピンのフィリピン国立大学Diliman校Candaliza-Guiterrez准教授及びフィリピン国家警察のNebran氏、未だ警察の民主的運営が徹底していないメキシコUMAMのSalgados教授よりアドバイスを受けて、各国の資料を収集した。 南アフリカのKhan教授、フィリピンのCandaliza-Guiterrez准教授およびNebran氏、メキシコのSalgados教授は来日したため、その際に会合を持ち、活字化されていない情報や各国警察の傾向について情報を得、今後の調査の実施方法について示唆を得ることができた。 9月後半にはフィリピン国家警察から協力を得、フィリピン女性警察官に対する調査を実施することができた。日本における警部相当以上の女性警察官、約40名に対して質問表調査、および調査当時、女性としては最高の階級に属していた二名の女性警察官、Nebran氏とCid氏の他、他数名に対し面接調査を実施することができた。 現在はフィリピンにおける調査結果を分析すると同時に、今後のイギリス、日本において実施予定の調査の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は初年度であり、資料収集と調査実施準備に当てる予定であった。資料収集については、偶然にも関連分野の海外研究者が訪日したため、予定以上に収集することができた。また、フィリピンについては、フィリピン国立大学Diliman校のCandaliza-Gutierrez准教授が個人的な関心を示してくれたおかげで、今年度前倒しで調査を実施することができた。しかし、英国、日本における調査実施準備がやや遅れている。 このような状況から、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題推進方針としては、日英における調査準備と調査結果整理、日英比以外の国への調査拡大の可能性探求の三点に分けられる。 フィリピンにおける調査は充分なサンプル数を得たと考えられるので、資料を整理し、他国との比較に備える。 日本での調査については現在進行中であり、実施が可能であるとの感触を得ている。英国については、警察の教育機関と連絡をとっているが、うまくいかない場合には、在英日本大使館の文化交流担当者、あるいは、警察庁からの出向者に依頼することを予定している。また、仮に英国での実施が困難な場合には、英国との人的、歴史的関係が深い南アフリカでの調査も視野にいれ、Dr.Gopalらと調査について検討している。 日英比以外の国への調査拡大について、今回フィリピンのNebran氏を通じて、インドネシア警察、タイ警察などの女性警察官の紹介を受けたので、調査実施の可能性について、本研究の実施年度内にとどまらず議論していきたい。
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Causes of Carryover |
2014年度夏に南アフリカの警察研究者の訪問があるなど、南アフリカで女性警察官を対象とする調査が可能という見込みであった。本調査は英国、フィリピン、日本を対象とするものだったが、南アフリカは英国の幹部警察官が再就職するなど、人的にも制度的にも関係が深い国であるため、比較対象として重要と考え、南アフリカでの調査実施費用を確保していた。しかし、現地で受け入れ、調査に関する交渉を担当する予定だったGopal講師が多忙となり、次年度以降への延期を余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Gopal講師或いは訪日したKhan教授の協力が得られる時期に速やかに南アフリカでの調査を実施するか、それが可能でなければ、現在規模を縮小する予定の英国での調査を当初予定した規模に戻す。
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