2014 Fiscal Year Research-status Report
裁判・仲裁・調停・和解の相互関係:日英米の比較研究
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26380017
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
溜箭 将之 立教大学, 法学部, 教授 (70323623)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民事訴訟 / 代替的紛争解決手続き / 英米法 / 裁判管轄 / 仲裁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初の「研究の目的」、「研究実施計画」で記したとおり、民事訴訟の英米比較を中心に調査研究を行った。実地調査として、ウィスコンシン大学とニューヨーク大学で文献収集・調査を行い、ウィスコンシン西部地区連邦地方裁判所で実地調査を行った。 それ以外は、全期間にわたり、民事訴訟手続法の英米比較に関する著書の公刊に向けた執筆を進めた。民事訴訟規則の法源・訴訟費用ルール・訴訟の開始と裁判管轄・民事保全・訴訟管理・多数当事者訴訟・開示・迅速な判決・トライアル・上訴・判決効、と全体の枠組はできあがり、内容的にもほぼ完成に近い段階に至っている。現在、刊行に必要な出版助成を申請し、査読を受けているところである。あわせて、アメリカ連邦民事訴訟規則の改正、イギリスの民事訴訟規則の改正、ヨーロッパにおける裁判管轄に関する規律の改正など、アップデートを要する項目も残っているので、これを補足する作業を行った。 代替的紛争解決手続きについての調査はまだ初期段階にあり、現時点では研究成果を公表する段階にはない。ただし、すでに民事訴訟法の研究においても、仲裁手続を支援するための諸手続きについての研究を進めつつある。ヨーロッパの民商事に関する裁判管轄と判決執行についてのブリュッセルI規則が2012年に改正された。その中で仲裁手続と裁判管轄の交錯の問題は一つの重要論点であり、2015年1月に発効した同規則がどのように運用され、いかなる論点を生じさせてゆくのか、今後も研究を続けてゆくつもりでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、成果という形で公表できる論文・書籍を公表することはできなかった。しかし、「研究実績の概要」でも記したとおり、英米民事訴訟手続法の比較に関する著書の刊行に向けた準備は順調に進んでおり、これは当初の研究計画に沿ったものである。また、本科研の中心的課題となる裁判手続と代替的紛争解決手続との関係について、基本的な調査は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、英米民事訴訟手続法の比較に関する著書の刊行に全力を挙げる。 同時に、裁判手続と代替的紛争解決手続との関係に関する研究を加速させ、夏季休業中に渡英する機会をとらえ、イギリスにおける文献調査と人脈の構築に力を入れてゆきたい。 近時の興味深い展開の一つが、信託に関する国際的な紛争に関するものである。この分野での仲裁などの代替的紛争手続の利用の是非について、国際的な関心が高まりつつある。こうしたことも含め、研究の視野を広げてゆきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
書籍の納品が予定通りに進まず、本年度中に執行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度初頭に予定の書籍を購入し、当初の予定通りの使用を続けることができると考えている。
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