2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on Theory and Praxis of the Constitutional Jurisdiction of Peru in Post-Neoliberalism
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26380042
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
川畑 博昭 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (50423843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 憲法裁判所 / ペルー / 新たな立憲主義 / 先住民 / アメリカ合衆国 / ポスト新自由主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
1993年制定の憲法を根拠に設置されたペルーの憲法裁判所は、1990年代後半には政争の具とされ、人権と憲法秩序の保障に仕える本来の機能を充分には果たせずじまいであった。しかし2000年初頭の長期政権の終焉とともに始まる政治変動とそれに伴う社会問題を法の領域で受け止めるものとして、2004年5月7日には「ペルー憲法訴訟法典(Codigo Procesal Constitucional)」(法律第28237号)が制定され、憲法や憲法裁判所の役割がかつてないほど脚光を浴び始めた。ペルーの法学界ではこうした現実を「法の憲法化」や「政治の憲法化」の現象として捉え、「新たな立憲主義」の概念で論じる傾向が強まった(この点については、川畑博昭「ペルー共和制にとっての『立憲主義』の位相――『統治』と『経済』からの抗い」京都民科歴史部会『新しい歴史学のために』No.285(2014年10月)52~66頁)。 2015年度には若干、本研究の進捗に遅れが生じたが、これまでの研究から、ラテンアメリカにおける「ポスト新自由主義」の文脈で憲法裁判所の役割を考える場合、新自由主義が先住民文化に対してもたらす弊害を是正するという意味での意義が一つの重要な論点であることが明らかになった。この点は、ペルーの憲法裁判所が2000年半ばに活発に機能するに際して、法による解決を必要とする社会の底辺層へ、みずから積極的な広報活動を展開していた事実とも関わる。ここに焦点を合わせ、今年度はペルーの先住民と憲法裁判所に関する研究報告と、未開拓の一つの重要な比較として、アメリカ合衆国におけるStanding Rockのスー族の先住民運動に着目し、同国から研究者を招き、研究会および講演会を開催した。最終年度の途中で明らかになったものの、逸し難い重要な比較研究であることから、早い段階で、今後この成果を公表する予定である。
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Research Products
(6 results)