2015 Fiscal Year Research-status Report
デジタル化社会における公平な課税―「フェア・シェア」の探求
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26380048
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
西山 由美 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20296221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 由花 常葉大学, 法学部, 准教授 (20383193)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フェアネス / BEPS / デジタル取引 / 恒久的施設 / 移転価格税制 / ビットコイン / リバースチャージ |
Outline of Annual Research Achievements |
①2014年度の科研費にて実施したウィーン経済大学との共同セミナー(2015年1月15日に明治学院大学白金校舎にて開催)の報告内容をまとめた報告書("Fair Share of Tax Burdens of Highly Digitalised Transactions: Report of the Joint Seminar 2015 in Tokyo")を研究代表者と研究分担者の共編により刊行した。刊行年月日は2015年12月26日、総ページ数171頁、掲載論文11編である。 ②課税における「フェアネス」は、日本の社会ではまだ十分に理解を得ていないことから、研究代表者においては学会報告や公表論文を通して、この考え方の紹介を行った。 学会報告として「消費課税における事業者と消費者」(日本税法学会第105回大会・2015年6月13日開催)、公表論文として「デジタル化社会における消費課税の新たな手法」(税務弘報63巻5号48-54頁、2015年5月)、「消費課税における『事業者』と『消費者』-フェアネスの視点からの考察-」(税法学537号209-224頁、2015年5月)など。 ③グローバルな視点から最新の租税情報を入手するために、IFA総会(2015年度は2015年8月30日から9月4日までスイス・バーゼルにて開催)への出席が不可欠であるところ、研究代表者及び研究分担者が勤務校の公務のために日本を離れられないため、研究協力者(古賀敬作・大阪経済大学経営学部専任講師)を派遣し、「国際課税の最近の展開」や「国境を越えるサービスの提供と消費税」などのテーマに関する情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度の最大の目標は、前年度に開催した共同セミナーの報告書の刊行であったところ、セミナー参加者の協力を得て、当初の予定どおり年度内にセミナー報告書("Fair Share of Tax Burdens of Highly Digitalised Transactions: Report pf the Joint Seminar 2015 in Tokyo")を刊行することができた。 また、IFA総会に予定通り、古賀敬作・大阪経済大学経営学部専任講師を派遣することができ、国際租税の最新情報を入手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年である2016年度においては、研究の総括として、ドイツの公平課税研究の一人者であり、かつドイツ租税法に関する代表的な教科書(Steuerrecht 21Aufl.)の執筆者である、ヨアヒム・ラングケルン大学教授を招聘し、研究代表者の勤務校である明治学院大学にて講演会を開催する予定である。この講演は、講演原稿(ドイツ語)と翻訳を併せて、報告書として公刊する予定である。同教授からは、2015年8月に来日の承諾を得ており、「課税の公平―経済的観点も視野に入れて」(仮題)の論題の提示を受けている。 2014年度実施の共同セミナーおよび2016年度実施予定の講演会の成果をまとめて、課税における「フェアネス」の意義、伝統的な課税原則である「租税公平主義」との関係および伝統的商取引から電子的取引に移行する中での税負担の分配について考察を深め、3年間の本研究課題を総括する。
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Causes of Carryover |
前年度のウィーン経済大学との共同セミナーの報告書出版に、当初、業者見積もりにより30万円程度の予算を組んでいたところ、編集、ファイル作成、校正等の作業全般を自分たちで行い、より安価に印刷ができる業者を選定したところ、カラー印刷にもかかわらず、17万円あまりで作成することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、課税の公平に関する研究でドイツの第一人者であるヨアヒム・ランク教授を招聘して講演会を開催する予定であり、今回の余剰分は、当初予定していなかった講演録の作成に充てる予定である。
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