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2014 Fiscal Year Research-status Report

行政責任の拡大とそれに伴う損害の法的調整に関する日仏比較研究

Research Project

Project/Area Number 26380052
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

北村 和生  立命館大学, 法務研究科, 教授 (00268129)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2019-03-31
Keywords公法学 / 行政法学 / 国家補償法 / 行政責任
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、行政責任に関する日仏の判例分析を通じて、行政責任に拡大とそれによって生じる問題点について、比較研究を行うものである。平成26年度の研究概要は主として以下のようなものである。
まず、わが国の判例の整理分析を行った。いわゆる不作為責任に関する近時の判決として、最判平成26年10月9日(民集68巻8号799頁)に代表されるアスベスト訴訟に関する判決の整理分析を行った。アスベスト訴訟最高裁判決は、労働環境に関する規制に関して行政責任を拡大したものである。もちろん、アスベスト訴訟に関する問題点は、同最判によって解決されたものだけではなく、建設アスベスト訴訟や、労働者以外の被害に関する判決も見られるが、これらについても、分析を行った。さらに、抗告訴訟における行政責任の拡大についても研究を行い、非申請型義務付け訴訟や差止訴訟の「重大な損害」要件の判断等につき、下級審判決の分析を行った。
次に、フランスの判例についてである。フランスでは、まずは、研究計画に示したように、2009年のコンセイユデタ判決を中心に研究を行った。さらに、フランスでは、行政責任に関する新たな判例が見られたことから、これらに関する研究も行った。第1に、メディアトール薬害事件に関する国家賠償事件の判決(TA de Paris, 3 juillet 2014)であり、同判決は、1審判決ではあるが、薬品の許認可権限を持つ機関の公役務過失を認め、行政責任を拡大した判決として重要な意味を持つ。第2に、コンセイユデタの判決(C. E., 23 juillet 2014)で、同判決は、無過失責任に関する判決であるが、上記の2009年判決と同様に、行政責任拡大による問題点の救済を考える上では、重要な意味を持つ。
平成26年度は、当初の研究計画に基づき、上記のように、日仏の判例について、整理分析を中心に行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成26年度については、行政責任に関して、日仏の下級審を含む判決の整理分析を行うととしており、上記の概要に示したように、おおむね当初の計画に基づいて、順調に進展していると考えることができる。わが国の判例についてはもちろんであるが、データベースを利用するなどして、フランスの行政判例についても、適切に整理し、それに基づく分析を行うことができたからである。
ただ、留意すべき点として、以下の点を指摘することができる。すなわち、当初の計画においても予定していたが、本研究の研究対象は、現在でもやや流動的な分野でもあることから、新たな判決が下されることがありうるという点である。実際、昨年度は、新た判決で、かつ、重要な判決がフランスで見られたことから、これらに対する研究が必要となった。フランスの判例の分析は平成27年度においても継続するとしていたことから、研究計画に遅滞はないと考えられるが、次年度の研究においても新た判決を適切に研究計画に包摂するよう配慮する必要はあるものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

わが国判例等の分析を継続するものの、平成27年度以降、フランス行政判例・学説の整理分析に力点を変えていくこととなる。
平成27年度以降については、わが国の判例分析としては国家補償関係から、行政訴訟関係の判例に研究の主軸をシフトするものとする。昨年度も一部研究を行ったが、行政責任との関係では重要性の高い義務付け訴訟や差止訴訟といった訴訟類型によって損害を受ける第三者の救済についても検討を行う。もっとも、現時点ではこれらの論点に関する判決はそれほど見られないことから、学説の検討が中心になる。昨年度一部研究を行っていた訴訟要件に関する研究についても継続する。また、留意すべき課題として、平成26年度に行われた行政手続法と行政不服審査法の改正と行政責任の関係を検討する必要がある。特に、行政手続法の改正は、司法過程ではなく行政手続過程での行政責任の拡大ととらえることもできることから、本研究においても研究対象とする。
次に、フランスの行政判例研究についても、前年度に引き続き、継続して研究を行う。特に新たな判決と、それに関わる論攷が見られるようになっており、これらの整理分析がまず必要とされる。また、研究計画でも示したように、フランスの行政判例だけではなく、フランス行政法学の状況につき、整理検討を行う。既に研究計画でも示したカミーユ・ブロイエル教授の各種論攷の他にも、T. Leleu, Essai de restructuration de la responsabilite publiqu,(2014)のような新たな文献も見られることから、これらを手がかりとして、フランス行政法学における行政責任の議論を整理する。
今後の研究の推進に関する計画は以上である。

Causes of Carryover

外国書籍の注文につき、価格の変動から一定の差額がでることとなったため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記の次年度使用額については、次年度予算と併せて書籍購入費用として使用することとする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 道路運送法上の公示をめぐる紛争(1)2014

    • Author(s)
      北村和生
    • Journal Title

      法学教室

      Volume: 407 Pages: 83-90

  • [Journal Article] 道路運送法上の公示をめぐる紛争(2)2014

    • Author(s)
      北村和生
    • Journal Title

      法学教室

      Volume: 408 Pages: 90-99

URL: 

Published: 2016-05-27  

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