2014 Fiscal Year Research-status Report
合衆国における厳格審査の歴史的基層──ウォーレン・コート期表現の自由法理を軸に
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26380053
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
塚田 哲之 神戸学院大学, 法学部, 教授 (00283383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 厳格審査 / 違憲審査基準 / 表現の自由 / 信教の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、1960年代のウォーレン・コート期における厳格審査の起源を解明する作業の端緒として、表現の自由領域において1960年代初頭に一応の確立を見た厳格審査(「やむにやまれぬ政府利益」定式)が信教の自由領域にも波及する過程の検討に着手した。第一歩として、信教の自由領域においてはじめて「やむにやまれぬ政府利益」定式を採用したShervert v. Verner, 374 U.S. 398 (1963)の形成過程の分析に着手し、通時的分析として信教の自由判例史における同判決の画期性、共時的分析として同時期の表現の自由法理の影響および相互作用の両面からの検討を進めた。 これと並行して、従来からの研究課題の継続として、同時期の表現の自由領域における直接行動(大衆運動としての集会・デモ等)に関連する判例法理の展開・その形成過程についても検討を行い、とくに60年代後半以降の歴史的・社会的文脈の変化と当該領域における連邦最高裁内部の理論的対抗のなかから、表現の自由領域においても一定程度厳格度が緩和された審査手法が登場し、それが1970年代以降の厳格審査と中間審査との区別に接続していくのではないかという暫定的知見を得ている。両者の検討を総合することで、本研究課題の対象たる合衆国における厳格審査の歴史的起源を一定程度解明する見通しを得られたことは26年度の研究の一定の成果と考えているが、論文等の形で公表するには至っておらず、27年度以降できるだけ早い段階での公表に向けて引き続き検討を進める。 なお、この間現代の日本における表現の自由領域を中心とする問題を扱った論文等を公表しており、執筆過程において、現在の日本における理論状況を確認する機会を得られたことは、現在の日本における合衆国の法理の影響度を検証する機会ともなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英文・邦文文献の収集とそれを用いた研究は一定の進展を見たが、合衆国連邦最高裁の内部資料を収集するため予定していた海外出張については、26年度には実現できず、資料収集の面でやや当初予定より遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度においては、できるだけ早い段階で合衆国連邦最高裁の内部資料を収集するための海外出張(2回を予定)を行い、必要な資料の確保に努める。並行して、26年度の研究を引き続き進め、早期に成果をまとめて公表するための作業を行い、および1960年代後半以降の平等保護領域における厳格審査の形成過程の検討にも着手する。
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Causes of Carryover |
26年度に予定していた合衆国連邦最高裁の内部資料を収集するための海外出張を実施できなかったため、それに相当する分の27年度への繰越額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度において2回の海外出張を行うことで、26年度からの繰越額相当分を含めて使用する計画である。
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Research Products
(4 results)