2015 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な都市開発における公益間調整の法構造分析ー日独比較研究を中心として
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26380055
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
勢一 智子 西南学院大学, 法学部, 教授 (00309866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 持続可能な発展 / 都市再開発 / 再生可能エネルギー / 循環型社会 / ドイツ法 / EU環境法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「持続可能な都市開発における公益間調整の法構造分析-日独比較研究を中心として」は,近時,環境法と都市法の融合領域となっている都市開発分野を素材とする比較法研究を通じて,複合的な公益間調整が要請される地域再開発において,環境公益を含む多様な公益の共存を目指す法政策について,そのメカニズムと法的特色を明らかにすることを目的とする。 二年目となる本年度は,昨年度のドイツ法研究を深化させるためにEU法研究を行い,それを踏まえて日本法研究に着手した。 EU法研究では,持続可能な都市発展に係る要請が見て取れる事象として,EU持続可能な発展戦略等の政策指針,環境行動計画等の部門プログラム,およびそれらを具体化する指令と規則,地域支援に係る基金等によるプロジェクトについて調査した。とりわけ,都市発展と環境配慮の利害が交錯する領域であるエネルギー,生態系保全,資源効率化について法政策理念とその具体化の動向を分析して,ドイツ法の展開がEU法に依拠する構造およびEU法との相互作用関係につき,検討を行った。 日本法については,環境型都市開発に係る政策理念とその背景要因,持続可能な社会理念との対応関係等を検討した。法政策実務における顕著な動向として,コンパクトシティ構想,地方創生,広域連携など人口減少社会の到来を見据えた都市再設計の取り組み状況について調査した。地域の再生・活性化の事例では,地域の多様な主体との連携を基礎としており,地域利害に係る多様な視点が見受けられることから,地域のあり方に係わる公益の多様化の現状について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象がEUとドイツともに法政策の変化が著しい分野であるため,法改正等に係わる動向が十分に把握できない点が残ったことから,やや遅れていると判断している。この点については,次年度も引き続き調査を続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため,これまでの研究を総括する。政策および法制度にかかる動向が引き続き見込まれるため,追加の調査研究を適宜実施して,最新の動向把握に努める。
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Causes of Carryover |
発注中の図書(洋書)が年度内に納品されなかったこと,および予定していた国内出張の一部が日程調整の不調等により次年度に延期になったことから,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に予定していた使用計画に従い,具体的には,発注中の図書の購入および延期となった国内調査出張に充当する予定である。
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