2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 肇志 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (90292747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 武力不行使原則 / 国際連合憲章 / 自衛権 / 集団的自衛権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の1年目である本年度は、関連する二次文献の読み込みを行った。とりわけ、ROE(Rules of Engagement)およびUnit Self-Defense関連の文献を中心に行った。この点は、これまでの集団的自衛権に関する議論が抽象的・理念的なものであったのに対し、より具体的な検討が求められるという申請者の問題意識を反映するものである。とりわけUnit Self-Defenseについては、現在公表されている二次文献を網羅することにより、議論の全体像を把握することができたと考えている。他方でROEに関しては、Unit Self-Defenseと比較してもさらに文献が限られることもあり、なお文献の渉猟・読み込みが必要であると同時に、二次文献以外に依拠したリサーチが必要であろう。 こうした作業と並行して、日本の安全保障法制の整備(集団的自衛権の行使容認を含む)に関連して、とくに内閣総理大臣の下に開催された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(以下、安保法制懇)」による昨年(2014年)5月15日の報告書提出および7月1日の「閣議決定」に関連し、日本が直面する問題などにつき指摘を行った。 これは、本研究の背景にある、第二次世界大戦後わが国がとってきた平和主義的な安全保障政策の本格的な見直しの方向性を整理しようしたものである。もとよりこうした見直しは、平成27年度に、安全保障関連法制の整備および日米ガイドラインの改定という形で具体的になされる見通しであり、したがって本年度の検討はその準備作業に当たるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次文献の渉猟・読み込みは行うことができたが、一次資料の収集・整理までは手が回らなかったというのが正直なところである。 他方で安保法制懇報告書や7月1日閣議決定につき、議論状況を整理する機会を得られたことは、当初の予定になかった進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
二次文献の読み込みと並行して、各国が締結している同盟条約やROE、ガイドラインなどの渉猟を進める。後者については、従来から意見交換する関係を有している外務省あるいは防衛省の関係者にも協力を仰ぎたい。また、資料の収集・整理については、大学院生をアルバイトで雇い、その助力も得る予定である。 こうして集団的自衛権に関する国際法上の問題全体について一応の見通しを得た上で、これまでの事例における運用ならびに議論につき、公刊されている一次資料を中心に、可能であれば諸外国の公文書館等に出張することにより、生の外交資料を渉猟し分析することとしたい。
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Causes of Carryover |
予算の消費に努めたが、僅少額が余ったので、次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として使用する予定である。
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