2017 Fiscal Year Research-status Report
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26380057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 肇志 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (90292747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 武力行使禁止原則 / 国際連合憲章 / 自衛権 / 集団的自衛権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の4年目である本年度も、集団的自衛権に関する研究の公表およびその準備を様々な形で進めた。 第1に挙げられるのは、英文の書籍、Origins of the Right of Self-Defence in International Law (BRILL, 2018)の刊行である。本書は、2009年に日本語で刊行した『自衛権の基層』の英訳版ではあるが、必要なアップデートを施したものである。本書の柱の一つが集団的自衛権に関する歴史的検討である。英語で刊行することによって、国際的な評価にさらされることとなる。多くの専門家に献呈することにより、すでにいくつかのフィードバックを得ている。 Collective Self-Defence in International Law and in the New Japanese Legislation for Peace and Security (2015)も、2017年初めに日本語で公表した論文の英訳版ではあるが、外国人向けに説明を加えている。 さらに、2016年10月に参加した国際プロジェクトは順調に公刊準備が進んでおり、森もDECISIONS IN JAPAN TO USE MILITARY FORCE OR PARTICIPATE IN MULTINATIONAL PEACEKEEPING OPERATIONSと題する1章を寄稿(脱稿)した。本章の中でも、集団的自衛権は大きな位置づけを締めている。本書(Oxford Handbook of Comparative Foreign Relations Law)は、Oxford University Pressより2018年度中に刊行予定である。 これらと並行して、武力行使全般に関する検討を進め、教科書の該当部分の執筆を進めた。飛躍的増大してきている二次文献の読み込みと一次資料の分析を同時に行う必要があり、容易な作業ではないが、国際法上の武力行使の規制に関する全体像を再考するよい機会となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、2017年度は様々な形でこれまでの研究を公表することができた。大きな成果ということができる。 とりわけ英語での公表を進めることができたことは、国際的なフィードバックをもらうことにより、今後の研究の進展につながるであろう。さらに、防衛実務家向けの教科書の執筆に参加し、武力行使に関する国際法上の規制についての章を担当しており、その執筆も進めている。国際法上の武力行使の規制に関する全体像を再考する機会となっており、研究全体の見通しをよくすることに役立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
先にも触れた教科書の執筆作業は、国際法上の武力行使の規制に関する研究全体を進めるのに役立つであろう。 現在、集団的自衛権の援用事例について検討する論文を執筆している。また、集団的自衛権に関する研究を書籍としてまとめる準備を進めている。 これらを進めることで、研究は推進されるであろう。
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