2018 Fiscal Year Annual Research Report
Collective Self-Defence in International Law
Project/Area Number |
26380057
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 肇志 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (90292747)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 武力行使禁止原則 / 国際連合憲章 / 自衛権 / 集団的自衛権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の5年目である本年度も、集団的自衛権を中心にした研究の公表およびその準備を様々な形で進めた。 第1に挙げられるのは、「集団的自衛権概念の明確化-援用事例とニカラグア事件判決」である。国際法上の集団的自衛権については、これまで十分な事例研究が行われてきたとは言い難かった。集団的自衛権が「援用された事例」に関する先行研究はあるが、それらが「行使された事例」と言いうるのかについても十分な検討がされてこなかった。本研究はそのことを出発点とし、国際連合憲章によってはじめて認められたと言われることもある同概念について、憲章発効後大きく2つの捉え方が併存していたこと、1986年のニカラグア事件判決の中で国際司法裁判所によってその一方に即して概念が整理されたこと、同時にその他の1つ(要請による干渉)はまったく整理されないままに残ったことを指摘した。そのことは、武力行使禁止原則についての今後の課題を明確にすることとなった。 2016年10月に参加した国際プロジェクトに関連し、DECISIONS IN JAPAN TO USE MILITARY FORCE OR PARTICIPATE IN MULTINATIONAL PEACEKEEPING OPERATIONSと題する1章を寄稿したが、本書(Oxford Handbook of Comparative Foreign Relations Law)は、Oxford University Pressより2019年度中に刊行予定である。本章の中でも、集団的自衛権は大きな位置づけを占めている。 また、個別国家による武力行使の規制全般に関する検討を進め、教科書(『防衛実務国際法』(弘文堂))の担当部分を執筆した。共著のため、刊行は2019年度となろう。
|