2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380063
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
西谷 祐子 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30301047)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 国際家族法 / 個人のアイデンティティー / グローバル化 / 法多元主義 / 準拠法適格性 / Lawmaking / 代理出産 / 承認論 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては，グローバル化において国民国家の枠組みが揺らぐ中で，多文化主義の観点から，国際的家族関係を規律するための国際私法の方法論がどのような変容を迫られつつあるかを検討することを目的としている。3年間の研究を通じて，具体的には，(1)個人の国家及びそれ以外の集団への帰属の意義，(2)国際私法における本国法主義の意義と準拠法適格性，そして(3)国際私法における承認論について考察を進めることを予定している。
本年度は，(1)については，欧州における難民問題の勃発とその対応，テロを受けての移民政策の変容，そして日本における難民・移民政策の現状に光を当てて研究を進めた。また，移民の帰属意識の変容と社会への統合について，政治学及び社会学の観点から検討した文献を渉猟して検討を進めた。
(2)については，国際私法における非国家法の準拠法適格性に関する議論について考察を深めた。とりわけグローバル化の中での法の変容を論じた文献が内外で公表されるに伴い，様々な分野における法規範の多元性とその相互の抵触の解決方法として国際私法の手法を用いることが提唱されるようになっており，国際家族法の領域にも応用可能な議論がなされている。そこで，本研究を進めるにあたって，国際家族法の領域における国家法と非国家法の協働の態様とその発展の可能性，そして準拠法の適用場面での慣習規範や宗教規範等の位置付けを検討してきた。その一環として，日本における法形成（lawmaking）がどのように行われているかを検討・分析して発表する機会も与えられ，そこでは立法者・裁判官・学者の協働作業のあり方と各々の特性，そして国家以外の主体による法形成のあり方を論じた。
(3)については，特に身分関係の安定性を図るために，国際的な親子関係の相互承認の可能性について，近時の各国における国際代理出産をめぐる判例の展開に注目して検討を進めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるにあたって，移民・難民政策や国際代理出産に基づく親子関係の承認の可否など，様々な新しい法的問題が生起しており，その都度その対応に迫られてきたのは確かである。しかし，それは，本研究を進める中でむしろプラスになる要素であり，諸外国及び日本における新たな議論状況を整理しながら，本研究における検討内容を深化させ，新たな角度から問題を分析することができた。したがって，全体として，研究計画はおおむね順調に進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は，新しい問題への対応の在り方を幅広く視野に入れながら，それが今後の国際私法上の議論にどのように反映されるべきか，また，どのような新しい理論と現実への対応が必要になるかを模索しながら，研究を進める予定である。とりわけグローバル化の中で非国家法規範が果たす役割の重要性は，様々な場面で注目されるようになっており，国家による規律が中心となってきた家族法の領域においても，どこまで慣習規範や宗教規範を組み込むことができるのかを検討することは，これからの国際家族法の発展の道筋を見極めるためにも，重要な意義をもつと思われる。また，各国において国際代理出産の問題が顕在化する中で，欧州各国の判例は，自国では代理出産を禁止している国も含めて，外国で成立した依頼者と子との親子関係については積極的に承認する方向に移行しており，国際私法における承認論が脚光を浴びつつある。本研究においても，今後は国際的な公序にかかわる代理出産問題への各国の対応の在り方と議論状況，そしてハーグ国際私法会議による検討状況も視野に入れながら，検討を深め，具体的な提言を行う予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Lawmaking in Japan2015
Author(s)
Yuko Nishitani
Organizer
Max Planck Institute for Comparative and Private International Law "Legislators, Judges, and Professors"
Place of Presentation
ドイツ（ハンブルク）
Year and Date
2015-12-04 – 2015-12-05
Int'l Joint Research / Invited
