2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Model for the Collaborative Relation between International Organizations
Project/Area Number |
26380065
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 達也 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80511972)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際法 / 国際機構法 / 国連 / 化学兵器禁止機関 / 化学兵器禁止条約 / シリア |
Outline of Annual Research Achievements |
国際機関相互の協働関係について、化学兵器禁止機関(OPCW)と国際連合を議論の素材として引き続き研究を行った。 研究のために不可欠な資料を広く国内・国外で収集するとともに、研究会や国際会議等に出席して研究者および実務家と意見交換を行った。 最終年度の研究の成果として、まず、論文「シリアの化学兵器問題」を日本軍縮学会編『軍縮・不拡散の諸相』(信山社、2019年)に寄稿した。具体的には、シリアの化学兵器廃棄が国際社会の協調によって実現したことと、シリアにおける化学兵器使用問題とシリアの化学兵器未申告疑惑が国際社会の対立をもたらしたことについて、それぞれ詳細な分析を行った上で、国際機関相互の協働関係に見出される可能性と限界を明らかにした。また、ストックホルム国際平和研究所で行われた国際ワークショップにおいて"OPCW Actions Against the Threats of Chemical Weapons Use"をテーマに発表した。具体的には、さまざまな場所での化学兵器の使用には化学兵器禁止条約のギャップが背景にあることを指摘した上で、これらのギャップを埋めるための取り組みについて評価し、今後の課題を提示した。 研究期間全体を通じて、シリアとリビアの化学兵器問題が次々と動的に展開してゆく過程の中で、論文の執筆と学会・国際ワークショップなどにおける発表を通じて、化学兵器禁止機関(OPCW)と国際連合の協働関係について、肯定的な側面にとどまらず、否定的な側面も含めて、詳細に論じることができた。当初計画していた理論モデルの構築には至らなかったものの、これにつながる重要な要素を特定することまでは実現できた。
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