2016 Fiscal Year Annual Research Report
Constructive Dialogue between the International Organs and the Costracting Parties in implementing the Human Rights Treaties
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26380072
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
徳川 信治 立命館大学, 法学部, 教授 (60280682)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人権条約 / 国際実施機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「人権条約の実施実現に向けた国際実施機関と国内実施機関の建設的対話」は、国際実施機関がその実施過程において導き出す基準が、必ずしも国内機関には受け入れられていないこと、さらにこうした矛盾から人権条約被害者が救済を期待して国際実施機関に申し立てる件数が飛躍的に増大したこと、それによって国際実施機関そのものの機能が危機に瀕している実態を背景に、その解決を目指すための方策を検討するものであった。 とりわけ、欧州人権条約下では、締約国の増大とともに申立件数が飛躍的増大したこと、その内容が実際には同種の事案の繰り返しであって、締約国内における社会構造の問題であることがわかっている。その改編を迫るためには、立法や行政府だけではなく、国内裁判所自身が人権条約に対する姿勢をかえることが求められるとともに、国際実施機関そのものも、補完性原則に立ち返り、その機能を強化することが求められていた。 この点につき、具体的な事案をとりあげ、検討を試みた。具体的には、死刑に関わる問題について広い意味での対話について検討を試みた。これは死刑廃止の動向につき、国際機関の政治的機関が、いかなる対応をしているのか、また国際実施機関による条約基準の発展について言及した。また戦後補償など人権条約採択前の事象に対する申立てについて検討を試みた。この領域では、補償を受ける権利が独立した権利として生じつつあることを指摘したが、他の国際機関においても国際法における立法論的展開が生じつつあり、その展開に即したものであるとは考えられるが、条約を離れて存在するか否かについて今後の検討課題とした。また、こうした新たな基準の策定が、単なる法技術的対処には止まらない、価値選択に関わる政治的緊張を伴うものであることを指摘した。 また同様に、条約の領域適用、とりわけ公海域に関する人権実現に関する課題について検討を行った。
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Research Products
(1 results)