2014 Fiscal Year Research-status Report
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26380077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水島 郁子 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (90299123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 眞弘 名古屋学院大学, 法学部, 教授 (20108781)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中小企業 / 労働法 / 会社法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中小企業経営者の判断が問題となる種々の場面につき、労働法と会社法のそれぞれの立場から法的問題を指摘し、対話することを内容とする。本年は、本研究の初年度であると同時に旧科研(中小企業における親族間事業承継にかかる労働法・会社法・家族法からの分析)の最終年度である。中小企業における法的問題を労働法・会社法分野から検討するという点では両研究には重なる部分がある。本年は5回の研究会をすべて京都大学で開催したが、そのうち第1回と第2回は旧科研の実績として、別途報告する。 第3回研究会(9月6日)は、会社法研究者に「労働災害における親会社への民事責任の追及:法人格否認の法理との接点」のテーマで報告いただいた。会社法の立場から労働法に問題提起がなされ、出席者で対話を行った。 第4回研究会(12月6日)は、豊富な会社員経験も有する実務家(社会保険労務士)に「株主・経営者・従業員の利害対立と利益調整~実務家の立場から~」の報告をいただいた。企業の再建過程や事業運営における経営者と労働者の立場について実例も交えて紹介いただき、それを踏まえて若干の議論を行った。 第5回研究会(2月7日)は、研究代表者が「企業変動と労働関係」のテーマで報告し、主として会社法によって規律される企業変動が労働関係に大きな影響を与えうること、しかし企業変動に関する法は、労働契約承継法を除いて労働関係への影響をほぼ考慮していないこと等を指摘し、研究分担者を含む会社法研究者と対話を行った。 研究代表者は、一般社団法人国際産業関係研究所(同志社大学)の研究会で、中小企業マネジメントにおける労働法と会社法の交錯について報告を行った。同研究会では、他分野の研究者や実務家から多くの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初めに予定したとおり、研究会を定期的に開催し、分析・検討を行うことができた。研究代表者は2回の報告を行い、会社法研究者や実務家の方々と対話をすることにより、多くの示唆を得ることができた。 研究分担者は論文等の公表を持続的に行っている。 なお、台湾の労働法研究者招へいは、先方の都合もあり、実現に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
中小企業マネジメントの視点を意識して、労働法、会社法のそれぞれの立場から、法的問題の抽出・整理・検討を引き続き行う。 第6回研究会は開催済みであり、第7回研究会の開催が7月4日に決定している。第6回研究会から会場を大阪に移したところ、実務家の参加が増えた。今年度は実務家からの示唆に重点を置き、理論的、比較法的検討は最終年度に回す方針である。
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Causes of Carryover |
年度末の海外出張の費用が、安価な航空機利用により節約できたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
93%執行しており、次年度繰越額は当初の使用計画に支障を来すものではない。
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Research Products
(5 results)