2014 Fiscal Year Research-status Report
少年矯正法における「最善の利益」原則の研究――国際的動向を踏まえて
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26380091
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武内 謙治 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10325540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 少年行刑法 / 少年院法 / 少年鑑別所法 / 移行支援 / 個別促進計画 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
1 本研究の目的と平成26年度の研究計画 本研究は、国際人権法とその影響を受けたドイツの立法・運用状況の分析、それを踏まえた日本法の分析と比較を通して、少年矯正法における「最善の利益」原則の意義を体系的に解明することを目的としている。 平成26年度の前半(導入期)は、①国際人権法、ドイツ、日本に関する文献・制定資料・立法資料の収集と分析を行うと同時に、②国際人権法・日本に関するインタビュー調査と、ドイツについてのインタビュー調査・アンケート調査に関する調査事項の精査を行うことを計画した。また、平成26年度の後半は、③国際人権法、ドイツ、日本に関する文献・制定資料・立法資料の分析を進めることを計画した。また、④国際人権法に関するインタビュー調査とドイツの東西南北4州を対象としたアンケート調査の予備調査、⑤日本についてのインタビュー(第1次)調査を実施することを計画した。 2 平成26年度の研究実績 平成26年度の前期に関しては、国際的な動向の分析を中心に作業を進めることができた。具体的には、ドイツの少年行刑法の資料収集、分析を進めることができた。平成26年度後期には、ドイツのニーダーザクセン州で調査を行い、州司法省の責任者に対するニーダーザクセン州(少年)行刑法の立法作業、その特徴、実務に関する聴き取り調査を行うことができた。同時に、少年行刑実務家および、(未決)勾留回避のプロジェクトに従事する州社会・少年・家庭局の責任者に対する聴き取り調査を行うことができた。 これらの研究成果の一部は、幾つかの学会報告(日本刑法学会第92回大会個別研究報告、比較法学会第77回学術総会・ミニシンポジウムB、日本犯罪社会学会第41回大会指定討論)およびそれを活字化した論文(「新時代におけるドイツ少年司法の課題」、「少年手続における付添人選任とその制度的保障」)に反映させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 本研究の目的と平成26年度の研究計画 本研究は、少年矯正法における「最善の利益」原則の意義を体系的に解明することを目的としている。この目的から、平成26年度前半は、調査の準備を行うことを計画した。具体的には、①国際人権法、ドイツ、日本に関する文献・制定資料・立法資料の収集と分析を行うと同時に、②国際人権法・日本に関するインタビュー調査と、ドイツについてのインタビュー調査・アンケート調査に関し、調査事項の精査を行うことを計画した。平成26年度後半は、③国際人権法、ドイツ、日本に関する文献・制定資料・立法資料の分析を進めることを計画した。また、④国際人権法に関するインタビュー調査とドイツの東西南北4州を対象としたアンケート調査の予備調査、⑤日本についてのインタビュー(第1次)調査をの実施を計画した。 3 達成度 平成26年度前半(導入期)に計画した、①国際人権法、ドイツ、日本に関する文献・制定資料・立法資料の収集と分析および、②ドイツについてのインタビュー調査・アンケート調査に関する調査事項の精査は、概ね滞りなく実施できた。しかし、②のうち国際人権法にかかわる聴き取り調査は未実施に終わった。これに関しては、今年度の文献調査・分析で、最低限の部分は補うことができたが、来年度の課題にもしたい。 平成26年度の後半は、③国際人権法、ドイツ、日本に関する文献・制定資料・立法資料の分析を進めることを計画した。また、④国際人権法に関するインタビュー調査とドイツの東西南北4州を対象としたアンケート調査の予備調査、⑤日本についてのインタビュー(第1次)調査の実施を計画した。③⑤は、ほぼ計画通り実施できたものの、④に関しては個別の聴き取り調査を実施できたにとどまる。しかし、質的調査としてアンケート調査による以上の成果を得ることができ、こさを補うことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1 全体の計画 平成26年度の研究は、概ね順調に進展した。そのため、研究の展開期として位置づけている平成27年度と平成28年度も、当初の計画を基本として、研究を行う。具体的には、下記の通りである。 2 平成27年度の研究計画 ①国際人権法については、平成26年度の後半に実施を計画したインタビューを行うことができなかったので、これを実施したい。その上で、この調査結果を踏まえた文献・制定資料の分析を進める。②ドイツに関しては平成26年度後期に実施を計画したアンケートの予備調査を行うことが゛きなかった。もっとも聴き取り調査によりそれを十分に補うことができたため、これに基づく調査を各州で行う。③日本について、インタビュー(第2次)調査を行う。 3 平成28年度の研究計画 前半(展開期③) 平成27年度(展開期②)の作業を継続しながら、②ドイツについては、インタビュー(第2次)調査を4州で実施し、アンケート調査の分析を進める。③日本につきインタビュー(第3次)調査を実施する。 後半(総括期) 研究の総括を行う。展開期②の段階から予定する社会的発信を継続するとともに、研究成果の公表を、研究論文や犯罪社会学会・司法福祉学会での個別報告を通して行う。
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Remarks |
研究成果の一部を反映させた論文のタイトルをリストアップしている。
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Research Products
(9 results)