2015 Fiscal Year Research-status Report
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26380117
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 顯治 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50222378)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 契約改訂 / 強迫 / 再交渉 / 公正感 / 契約管理 / プロセスとしての契約 / 敷引特約 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、編著書二冊、書籍収録論文を一本公表した。(1)西田英一=山本顯治編著『振舞いとしての法 -知と臨床の法社会学』(法律文化社・2016年)は、「法社会学方法論」「臨床法学」そして「紛争と交渉」の三部門に分けて、現代紛争処理論の先端的論稿を公表した。その内、山本顯治「契約改訂合意の拘束力と公正感」は、契約改定交渉の結果成立した合意の拘束力を巡る英米法理を概観し、法と経済学に基づく近時の理論分析を紹介・検討した。(2)角松生史=山本顯治=小田中直樹編『現代国家と市民社会の構造転換と法 -学際的アプローチ-』(日本評論社・2016年)は、「ガバナンスと参加」「リスクと責任」「関係と連帯」というキーワードを軸に、現代市民社会の構造転換を表象する諸問題について各分野を代表する論者の論稿を収録する。その内、山本顯治「契約管理 -プロセスとしての契約とガバナンス-」は、「スルガ銀行 対 日本IBM」事件を取り上げ、現代型契約の多段階構造、契約内容の継続的な形成と改訂、組織内部の利害調整を適切に管理するための、「プロジェクト全体の管理手法」としての契約、即ち「契約管理(contract management)」という新たな考え方が実務・理論の最前線において生成していることを明らかにする。(3)最後に、山本顯治「敷引40万円、敷引あり-敷引特約の経済的合理性-」(阿部・和田編『新入生のためのリーガル・トピック50」(法律文化社・2016年)所収)は、最高裁で争われ、賃貸借法学において関心を呼んだ「敷引特約」について、情報の非対称性理論、不完備契約論、取引費用の経済学の知見を参照し、敷引特約の経済的合理性につき考察したものである。上記論稿は、いずれも本科研課題である「市場法の観点に立った契約的救済法論」を具体的に展開したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)文献の収集、分析、判例との照らし合わせ、の各プロセスは順調に進展している。 (2)これまでの研究成果も、2015年度に編著2冊、論稿1本の形で公表しており、おおむね順調に進展していると言いうる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)現在まで研究はおおむね順調に進展しており、このペースを乱さず、研究を進展させて行きたいと考えている。 (2)2016年度、2017年度(最終年度)にかけて、本研究のまとめとなる論稿を数本公表する予定である。
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Causes of Carryover |
書籍・雑誌等当初予定通り購入したが、2千円弱の端数が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、文房具等必要物品を購入するために翌年度に1,941円を回した。
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Research Products
(4 results)