2016 Fiscal Year Research-status Report
現代的課題を克服する親権制度についての考察-フランス法を視座として-
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26380123
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
栗林 佳代 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (90437806)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 養子縁組 / 親権 / 共同親権 / 面会交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランス法との比較を通して、わが国における親権制度を批判的に検討し、共同親権制度の導入も含めた新しい親権制度の解釈論および立法案の方向性を検討するものである。具体的には、共同親権制度を前提として、養子縁組と親権という切り口から、主に面会交流などの周辺の制度との関連性も考えつつ検討を行う。 これまでの研究で明らかになったフランス法およびわが国の親権制度を念頭に置きつつ、親権と密接に関連する養子縁組制度の在り方について検討をした。わが国の養子縁組制度は、普通養子縁組と特別養子縁組に分かれる。子のための養子縁組制度である6歳未満の子を対象にする特別養子縁組は、普通養子縁組に遅れて昭和62年に制定されたものであるが、現実にも一貫して利用が少ない。他方、フランスの養子縁組制度は、完全養子縁組と普通養子縁組に分かれる。そして、子のための養子縁組を実現するための福祉型の養子縁組制度の件数が、わが国と比してはもちろんのこと、ヨーロッパの周辺国と比しても相対的に高いことがわかった。また、フランス法の養子縁組制度は、実定法としての民法だけに依拠することなく、社会福祉法や行政法にも広く規定をもつことがわかった。これらの研究の成果としては、「(仮)フランス養子法の概説」として、鈴木博人編『(仮)養子法の国際比較研究』において公表する予定である。その意義および重要性としては、最新のフランスの養子縁組制度について、網羅的に検討した研究を提示することで、学界としてのこの領域の研究の進展での一助となることであると考える。また、親権および面会交流に関する成果としては、後掲の研究業績①および②である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、フランス法における親権制度およびわが国における親権制度を検討することができ、それを足がかりとして、養子縁組制度についても検討ができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、最終年度であるため、これまでの研究で明らかになったフランス法およびわが国の親権制度および養子縁組制度について、さらに総合的に比較検討し、本研究課題について終えたいと考えている。親権の各論的な主たる問題である面会交流について、そして、養子縁組と親権の各論的な問題ー未成年である自己の直系卑属あるいは配偶者の直系卑属と普通養子縁組をする際の家裁の許可の免除および非監護親の同意不要の問題、親権停止および親権喪失の場合の親の代諾養子縁組に対する同意権の問題、児童虐待の場合の子の保護と養子縁組の問題ーについても検討したいと考えている。
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Research Products
(2 results)