2015 Fiscal Year Research-status Report
新たなグローバル化社会における動態的な担保取引法秩序の形成に向けた基礎理論の構築
Project/Area Number |
26380126
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 直也 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (00202010)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一般的法原則 / 活用 / 経済的所有権 / 充当 / 担保価値維持義務 / 財産管理 / ベルギー法 / ケベック法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスを含めたブリュッセル、ケベックなどフランス法圏の法認識論の拠点との交流を基盤として、各論テーマとしては担保取引・包括担保制度に関するルール策定を念頭において、新たなグローバル化社会に対応した動態的な担保取引法秩序の形成に向けた基礎理論の構築をめざすものであり、法原則として、(i) 新たな「財」概念と「経済的所有権」概念の確立、(ii) 「充当(affectation)」の一般的法原則の確立とその濫用規制、(iii) コベナンツの効力論および「担保価値維持義務」の一般的法原則の確立を想定している。 平成26年度と平成27年度を通じて、まずは、パリを中心に、法認識論的な視角から、一般的法原則のあり方を研究し、その成果を「法典と一般法原則―法秩序の重層構造と動態的法形成―」という形で日仏で公表した。次いで、担保取引に関しては、ベルギーのブリュッセル自由大学を訪問し、研究拠点を確立し、平成27年度には、ベルギー国際取引法・担保法の若手研究者であるエリック・ヴァン=デン=オート教授を招聘し、ベルギーにおける担保法の改革に関する講演会を開催するなど、ベルギー法の研究に傾注した。 平成27年度には、併せてケベックでの研究拠点確立を予定していたが、先方の受入れの都合もあり、平成28年度に延期することとした。 さらに、これまでの研究を通じて、担保取引の一般法原則という点については、近時の金融取引社会における収益管理型の担保の展開を踏まえて、上記(i)~(iii)の視点を統合するもう一つの分析視角として、「活用(exlpoitation)」という視角が重要であることが見出された。平成28年度には「活用(exlpoitation)」という分析視角を加えてさらに検討を進めて行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度には、ケベックでの研究拠点確立のためケベック出張を予定していたが、先方の受入れの都合もあり、平成28年度に延期することとした。そのため平成27年度の予算の一部を平成28年度に繰り越す措置を執った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、海外調査としては、ケベックを中心に行い、最後に、パリを訪問して、新しい担保法改正の動向の調査を行う。その際に、渡航状況が許せば、ベルギーを再訪したい。 理論面では、当初予定していた「経済的所有権」、「充当」および「担保価値維持義務」という3つの法原則を統合する分析視角として、新たに「活用」を加えて、統合を図り、理論面での研究を整理する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定していたケベックでの調査が、先方の都合等で、延期となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に、ケベックでの調査を実施する予定である。
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