2016 Fiscal Year Research-status Report
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26380131
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
池村 正道 日本大学, 法学部, 教授 (30159644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 大祐 日本大学, 法務研究科, 助教 (10648504)
松嶋 隆弘 日本大学, 法学部, 教授 (20287569)
平 裕介 日本大学, 法務研究科, 助教 (30648506)
工藤 聡一 日本大学, 危機管理学部, 教授 (40337126) [Withdrawn]
鬼頭 俊泰 日本大学, 商学部, 准教授 (40512075)
大久保 拓也 日本大学, 法学部, 教授 (90333103)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自治体監査 / 監査制度 / 地方自治 / 監査役 / 内部統制 / 外部監査 / 妥当性監査 / 不当 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、行政法(地方自治法)と会社法との学際的研究である。研究3年目の平成28年度は、平成26年度・平成27年度に行った研究をさらに発展させる研究を行った。 平成26年改正された会社法は、平成27年5月1日に施行された。同改正の中には監査役制度を強化する改正や、監査等委員会設置会社制度の新設等、監査制度に関する改正が含まれている。本研究では、改正前後の実務の状況を踏まえ、会社法専攻の研究分担者を中心に進めていった。監査等委員会設置会社制度に関する学術論文が公刊されたのはその一端である。また、会社法に関する新しい判例の分析も会社法専攻の研究分担者を中心に行われ、多くの判例研究が公刊されたのも本研究の実績である。 行政法専攻者も、本来のフィールドである行政法の分野においては、行政不服審査法の改正が行われたこと等についてのフォロー・アップの作業を行っている。特に、行政法専攻者のうち分担研究者は、行政不服審査の不当性概念等に関して、平成27年度に学会報告、平成28年度に学術論文を公刊している。また、同分担研究者は地方公務員に対する分限免職処分の「不当」性審査基準に関しても学術論文を公刊したことは、本研究の大きな成果である。同分担研究者によるこれらの学術論文は「公監査」における「不当」性(違法性とは異なる概念、行政不服審査法1条1項)の審査の基準や考慮事項に関して考察するものであり、もって、株式会社監査につき公監査的に(地方自治法242条1項参照)再構成することに寄与せんと試みたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄で述べたとおり、平成28年度は、会社法改正に対応する研究を継続し、会社法専攻者を中心に監査等委員会設置会社制度に関する学術論文の公刊や、会社法に関する新しい判例について判例研究を公刊を公刊することができた。さらに研究分担者各自が、会社法・商事法に関する業績や広く民法・民事訴訟法等も含む私法学全般に研究範囲を広げて業績を多数執筆しており、これにより、商事法の世界における学術的な貢献をすることができた。 また、行政法専攻者のうち研究分担者が行政不服審査の不当性概念や地方公務員に対する分限免職処分の不当性審査基準に関して研究を行い、学術論文を公刊したことは、平成28年度の大きな研究成果である。 もっとも、行政法専攻者である研究代表者による研究の取りまとめが残された課題であるところ、行政法では上記のとおり行政不服審査法の改正が行われたことなどに係るフォロー・アップに関する作業を行ってきているが、平成28年度においては、同作業によって得られた知見を本研究に十分還元するまでには至らず、このことが今後の課題として上記のとおり引き続き残されることとなった。 このようなことをあわせ考えると、研究の達成度は「おおむね順調」と評価する次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
学際的研究である本研究は、一方の研究者は他方の研究分野についても、一定の知見を確保しておく必要がある。本研究に則していえば、行政法専攻者(その中には、本研究代表者も含まれる。)は、会社法制の概要について一定の知見を確保するよう研鑽すべきであると同時に、会社法専攻者は、行政法について、単なる「行政法総論」のレベルの知識に止まらず、自治体監査制度について深い理解を有しておく必要がある(例えば、監査請求とそれに続く住民訴訟等)。平成29年度は、これまでに得られた各自の知見をもとに、双方の領域専攻者が、他方のフィールドを意識した上で、各自のフィールドにおいて、「監査」概念を考える作業を執り行うことが必要となる。例えば、会社法では、自治体監査における外部監査(特に包括外部監査概念)を踏まえた上で、あるべき監査制度(特に新法の下における)を考えてゆくことになろうし、行政法では、会社法における内部統制をどう自治体監査とリンクさせるか等を考えてゆくことになろう。 この点については、これまでの研究活動を通じて、特に研究分担者が書籍、学術論文、学会報告等で研究成果が公刊されてきた。それらをもとに、研究代表者による研究の総括を行うことが、今年度行うべき課題ということになる。
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Causes of Carryover |
研究自体は順調に進捗しているが、物品費(洋書購入代金等)や旅費について年次受領総額に対して若干のみ使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究完成年度であり、研究の取りまとめを行い、予算の完全執行を期する。
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Research Products
(9 results)