2014 Fiscal Year Research-status Report
現在日本の商品先物市場および商品先物取引法制の在り方をめぐる研究
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26380138
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾崎 安央 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30139498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 商品先物取引 / 商品先物取引法 / 綜合取引所 / 東京商品取引所 / デリバティブ / エネルギー市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題である法領域である「商品先物取引法制」に関して、いわゆる「不招請勧誘規制」に関する省令(経済産業省令・農林水産省令)の修正問題が発生し、パブリックコメントの分析や、とりわけ消費者問題との関わりでの消費者委員会等からの批判の検証等に研究を集中せざるをえず、またTPPが農産物先物市場に対する影響など、喫緊の課題との関係で生じるであろう法的な諸課題の検討が必要となったため、いささか偏った研究となった。初年度の研究計画としては、第一に、日本市場の現状を把握することにつとめることとしていたが、そのことはほぼ達成されたと考える。現時点では公表された研究実績はないが、東京商品取引所の実態については、委員である同取引所市場取引監視委員会等を通じて多くの情報を入手することができ、関係者からの情報も含め、何が課題であるか、という問題の所在は的確に把握できたと考える。特にほとんど情報のないエネルギー市場問題に関する知見も得られた。これらを背景に次年度以降の研究を推進させたい。これに対して、大阪堂島商品取引所が抱える課題等の研究は十分ではなく、次年度と課題とならざるをえなかった。また第二の課題に掲げていた中国市場の調査研究も時間の関係等を理由に十分に行うことができなかった。しかし、文献資料の調査の限りでは、中国では大連・上海・香港が調査対象となること、またシンガポールの位置づけが重要であることがわかり、特に取引所間連携における取引システムのあり方など、法的にも検討しなければならない課題が明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、全研究時間のうち商品先物取引法制にさける部分について、不招請勧誘問題等の喫緊の課題に対応する必要が生じたため、本来の研究計画に関しては、国内市場の現状把握と文献資料の収集にとどまった。大阪堂島商品取引所における農産物市場を含む農産物市場に関する部分は、TPPとの関連でも重要であるが、資料不足であった。特に影響したのは、平成26年会社法改正関連の仕事が増えたことであり、商品先物取引法制に関する研究時間を十分に割り振ることができなかった。会社法施行に係る調査等が一段落したことから、『商品先物取引法』の改訂も含め、商品先物法制により多くの時間がさけるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アジア市場との競争渦中にあり、また総合取引所構想の商品サイドの主要な主体である東京商品取引所など関係諸機関の主要なセクションの協力を得ることが可能であり、その協力の約束もいただいている。したがって、そのような外部者の協力を得つつ、たとえば現地調査に関するアレンジメントも、このような取引所サイドまた取引業者、さらには商品先物取引を活用している企業等との協力のもと行い、実効性ある調査を実施する予定にしている。最近になって、日本の商品先物制度それ自体をめぐって議論が急展開してきたが、それら諸課題に対処するためにも、現状把握に今一度つとめ、日本の先物取引法制の近未来を検討するうえで必要な知見を得るとともに、研究基盤を形成することとする。
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Causes of Carryover |
中国市場の現状を把握するために必要と考えた海外出張が初年度に実施できなかったために、その費用の支出が次年度となった。海外でのヒヤリング実施が延期されたため、そのために必要なICレコーダーなどの機器も購入しなかった。大阪堂島商品取引所に対する現地調査も実施できなかった。新たに購入する予定となる商品先物取引に関する文献・資料が十分に揃わず、購入に至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度中に、中国(大連を中心とした北部中国と香港)への出張を予定している。その際に必要となる機器を購入する予定にしている。大阪への出張も考えており、現地との調整を行い、実施する。文献資料については、改めてリストを作り直しており、今年度中に必要な文献を購入する。
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