2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Legal Theory About Water Trade System: Theory and Practice for Transferable Water Rights.
Project/Area Number |
26380139
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
宮崎 淳 創価大学, 法学部, 教授 (30267489)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地下水規制 / 地下水の採取許可 / 井戸設置規制 / 土地所有権 / 財産権の保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、地下水の採取を法律または条例で規制することは、土地所有権を制限することになり、憲法29条が保障する財産権を侵害するのではないかとの問題意識から、憲法適合的な地下水の採取許可制度のあり方について研究した。 地下水規制のために井戸の設置を禁止した条例の規定は憲法29条2項に違反しないとした、東京高判平成26年1月30日判自387号11頁が最高裁によって確定されたことを受け、井戸設置規制条例に関する裁判所の合憲性判断を分析するとともに、地下水規制として地下水の採取許可制度を取り上げ、憲法適合性からみた当制度のあり方について考察した。 まず、井戸設置規制条例に関する第一審と控訴審の合憲性審査について引用先例の相違の角度から検討し、控訴審判決は地下水採取の規制を土地所有権に対する制約と捕捉し、制約される土地所有権の「事の性質」に鑑み、立法事実に即した比較的厳格な合憲性判断をしたと解釈した。そして、このような合憲性審査は、井戸設置規制条例の事案のみにとどまることなく、地下水規制が土地所有権に対する制約として捉えられる限り、地下水規制一般に敷衍されると論究した。 つぎに、地下水の採取許可制度について、その法的構成を許可的規制と特許的規制に区分し、規制の程度の観点からそれらを対置させ、両規制類型が必要かつ合理的な規制とされる要素を抽出した。これにより採取許可制度は、立法事実に基づき健全な水循環を維持・回復するために、規制を必要とする地域と揚水規模および合理的な許可基準を内包すること、つまり、規制の対象となる地域と揚水規模および合理的な許可基準という要素が、立法事実に裏づけられ当該制度の内容を構成することが重要であると結論づけた。
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